2022年9月16日金曜日

【別冊シーサイドももち】〈005〉思い出のマッスル夏の陣 in 百道

埋め立て地にできたニュータウン「シーサイドももち」の、前史から現代までをマニアックに深掘りした『シーサイドももち―海水浴と博覧会が開いた福岡市の未来―』(発行:福岡市/販売:梓書院)。


この本は、博多・天神とは違う歴史をたどってきた「シーサイドももち」を見ることで福岡が見えてくるという、これまでにない一冊です。


本についてはコチラ


この連載では「別冊 シーサイドももち」と題して、本には載らなかった蔵出し記事やこぼれ話などを紹介しています。ぜひ本とあわせてお楽しみいただければ、うれしいです。


過去の記事はコチラ。


1(「よかトピアに男闘呼組がやってきた!」)

2(「ダンスフロアでボンダンス」)

3(「よかトピアの「パオパオ・ロック」とは。」)

4(「開局! よかトピアFM(その1)KBC岸川均さんが育てた音のパビリオン」)

※ 2023.4.28 一部タイトルを変更しました。

 



〈005〉思い出のマッスル夏の陣 in 百道



突然ですが皆さん、筋肉は好きですか~?

最近はコロナ禍によるおうち時間の増加もあって、筋トレに目覚めたという人も多いそうです。

筋肉は裏切らない!!(らしい)


ところで9月17日は何の日かご存知でしょうか。

そう、福岡市東区出身でいまやトップオブ筋肉芸人でもある、なかやまきんに君さんのお誕生日です! ヤー!!

なかやまきんに君さんは1978年9月17日福岡市生まれ。NSC(吉本総合芸能学院)大阪校の22期生で、同期には南海キャンディーズの山里亮太さんやとろサーモンの久保田かずのぶさんなどがいます。

これまでに2度の〝筋肉留学〟を経て、2021年には「筋肉活動を優先したい」として独立。現在はお笑いタレントやYouTuberとして活躍しながら、本気で筋肉と向き合うボディビルダーでもあります。

最近では「JBBF第34回日本マスターズ選手権」というガチのボディビル全国大会に出場され、40歳以上級で6位に入賞し話題になりました。


個人的なことで恐縮ですが、筆者はなかやなきんに君さんとは同級生。

とはいえ、住んでいた区が違うので、昔も今も一切何の接点もありませんが、同じ時代を同じまちで過ごしてきたと思うと、勝手な親近感が湧くのが人情。数万人いた福岡市内の同級生の一人として、勝手に応援している次第です。


そんな筋肉芸人さんたちの活躍もあり、すっかりメジャーになったボディビルですが、かつては海水浴場のイベントの一環として、大会を開いていたことがありました。


海と筋肉。


日本でボディビルディングが本格的に普及したのは戦後になってからのこと。

昭和31(1956)年に現在の社団法人日本ボディビル連盟の前身である「日本ボディビル協会」が誕生しました。

協会本部は東京でしたが傘下のジムが全国にあり、福岡にも東中洲に「福岡ボディビルセンター」という福岡で最初のボディビル専門ジムがあったようです(その後、住吉などに移転)。


協会はボディビル普及のため、「ミスター日本コンテスト」というボディビル大会を毎年開催、これに新聞社やテレビ局が協賛したことでマスコミにも取り上げられ、ボディビルブームが起こります。

大会審査員には当時大人気だったプロレスラーの力道山や、作家の三島由紀夫などを招き、こちらも大きな話題となりました。


当初、大会は公会堂などを会場に行われていましたが、昭和32(1957)年の第3回大会では、江の島西浜海水浴場のステージを会場に、「ビーチ・コンテスト」として開催されました。


はい、出ました海水浴場!


百道海水浴場でも、昭和33(1958)年から「ミスター百道撮影(ボディービル・コンテスト)」として、ボディビル大会が開催されています。

当日の新聞記事には、

「(略)福岡はもちろん熊本、長崎からはせ参じた体格に自信のある十六人の男性が自慢の筋肉を披露した。〝動く彫刻〟さながらのたくましい筋肉の躍動に黒山の観衆も大かっさい。」(昭和33年8月3日夕刊『西日本新聞』)

と、写真付きで紹介されており、その盛り上がり具合がうかがえます。

こうして福岡のボディビル大会は、昭和41(1966)年まで毎年百道海水浴場で開催されていました。


こんな感じで開催されてたようです。

ところで「ビーチ・コンテスト」や「ミスター百道撮影」という名前だけ見ると、何となく気軽な夏のイベントのようですが、実はそうではなく、どうやら協会主催の本気(マジ)の大会だったようです。

昭和35(1960)年大会に出場した富永義信さんという方が、ボディビル専門誌に寄せた手記の中で、当時の様子を次のように振り返っています。




どうでしょう、この熱…アツい…。とても海水浴場の一イベントの回想とは思えません。

市内でも有数の海水浴場として知られていた昭和30年代の百道の浜では、レジャーを楽しむ人々をよそに、九州の筋肉自慢たちが集まる本気の〝マッスル夏の陣〟が繰り広げられていたのでした。

パワー!!




#シーサイドももち #百道海水浴場 #ボディビル #なかやまきんに君 #筋肉は裏切らない



【参考文献】

・太田実「ボディビルと私~情熱と試練~」/[PHYSIQUE ONLINE]https://physiqueonline.jp/specialist/executive/page2359.html

・田鶴浜弘「日本ボディビル史〈その3〉」(『月刊ボディビルディング』1975年10月号)/[PHYSIQUE ONLINE]https://physiqueonline.jp/specialist/page3346.html

・田鶴浜弘「日本ボディビル史〈その4〉」(『月刊ボディビルディング』1975年11月号)/[PHYSIQUE ONLINE]https://physiqueonline.jp/specialist/page3352.html

・田鶴浜弘「日本ボディビル史〈その5〉」(『月刊ボディビルディング』1975年12月号)/[PHYSIQUE ONLINE]https://physiqueonline.jp/specialist/page3367.html

・「ミスター全日本選抜コンテストの採点簿」(『月刊ボディビルディング』1972年9月号)/[PHYSIQUE ONLINE]https://physiqueonline.jp/specialist/page3064.html

・「☆ボディビルと私☆ボディビルと共に歩んだ二十年 1976年6月号」(『月刊ボディビルディング』1976年6月号)/[PHYSIQUE ONLINE]https://physiqueonline.jp/specialist/page5709.html


[Written by かみね/illustration by ピー・アンド・エル]


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