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2020年12月17日木曜日

琵琶の音色に歴史を感じて

先月、令和2年11月15日(日)、工事休館前の福岡市博物館の講座室で、小さな集まりがありました。

この集まりは、福岡市視覚障害者福祉協会と、市の博物館や文化財関係者が連携して行っている「郷土の歴史を学ぶ」会です。

協会の方たちとともに、福岡の豊かな歴史資源に対する学びを深めることで、視覚に障がいのある人々の「福岡を旅行してみたい」と思う気持ちを盛り上げたり、仕事や社会参画の機会を増やすことができないかな〜、という気持ちで、平成30(2018)年から続けてきた会です。

これまで、

平成30年9月 博物館にて「明治維新から150年 あたらしい日本をめざして奔走した平野国臣」

平成31年1月 博物館にて「江戸時代の武具」

平成31年4月 板付遺跡(博多区板付)の見学会

令和元年11月 埋蔵文化財センター(博多区井相田)と金隈遺跡(博多区金の隈)の見学会

を行ってきました。

令和2年に入ってからは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、しばらく開催を見合わせていましたが、たくさんのウェットティッシュを持ち込むなどして感染対策をはかり、11月15日(日)、琵琶をテーマに集まることになりました。テーマを琵琶としたのは、博物館で催行していた開館30周年記念展「ふくおかの名宝 ー城と人とまちー」、そして、「第32回新収蔵品展 ふくおかの歴史とくらし」の両方に、由緒ある琵琶が展示されていたことにちなんでいます。

さて、この会では「ものに触る」ということにこだわっていますが、今回は、筑前琵琶を再生するプロジェクトを起こしたドリアーノ・スリスさんの大きな協力を得ることができました。

ドリアーノさんはイタリア会館・福岡を主宰するかたわら、40年以上も琵琶の製作・修復に携わっていらっしゃいます。そして、今年の5月、危機に瀕する筑前琵琶の伝統を伝え、楽器づくりや修復の担い手を育成し、筑前琵琶づくりの再興を担う拠点「琵琶館」をたちあげられました。

そして、今回、「郷土の歴史を学ぶ」会の趣旨にご賛同いただき、ご自身のコレクションである盲僧琵琶、筑前琵琶、薩摩琵琶を携え、「琵琶館」で琵琶づくりと修復の学ぶお弟子さんを伴って、会に参画していただくことになったのです。

当日は、博物館市史編さん室の学芸員(近世専攻)の宮野弘樹による「福岡藩の盲僧」のレクチャー、そして、ドリアーノさんと琵琶の関わりのお話のあと、お弟子さんの薩摩琵琶の演奏をみんなで聴かせていただき、最後に、代わる代わる琵琶を触りました。話を聞き、音色を聴き、楽器に触れて形をたしかめ、そして、みんなで語り合うことを通じて、あらためて、この楽器を芯にして紡がれる歴史を体感することができました。

あらためて、ドリアーノ・スリスさんに感謝の意を表したいと思います。

盲僧琵琶をさわる参加者とドリアーノさん

さて、イタリア会館・福岡では、令和2年12月19日(土)まで、「よみがえる琵琶 ドリアーノ・スリス 修復琵琶展」を開催中です。ぜひ、お運びください。

わたしたちは今後も、ユニバーサル都市・福岡にふさわしい「みんなと伝える・みんなに伝わる」ミュージアムをめざし、さまざまな人と連携・交流しながら、地域の歴史を五感で体感するための取組みを続けていきます。

「こんなことをやってみたら」というアイデアがありましたら、ぜひ、お知らせくださいね。


posted by Shanshan



2017年9月26日火曜日

学芸課長のつぶやき6「ユニバーサルミュージアム」

9月16日(土)~18日(月)、稼ぎ時の3連休。
ところが台風接近!
多くの公共施設が最接近の17日の日曜日に閉館する中、わが博物館は開館!

大風は吹かなかったものの、断続的な大雨で、さすがに来館者は少なかった(泣)。
でも、大雨の中、お越しいただいたお客様には感謝!

翌月曜日の敬老の日は台風一過の良い天気。
この日は午後に「筑紫楽所」による雅楽コンサートを行いました。
たくさんのお客様が、グランドホールいっぱいにお越しになり、
和楽器が奏でる音色に酔いしれました。


日本の楽器の良さ感じた時間でした。

雅楽コンサートでは、楽箏(筝の一種)・龍笛・楽琵琶・笙・鼓などの楽器がありましたが、これらの和楽器に似たものを、この秋、博物館で弾くことができます。


箏(こと)をつま弾いている女性、わが館の学芸員で鴻臚館シスターズの一人Fです。

Fが箏を弾いていると、それを見ていた古美術担当の鴻臚館シスターズSがやってきました。おもむろに横笛を吹きだした・・・・・
ん?音が出ない。






笛は難しい。尺八も首振り○年といいますからね。
SSKは、9月27日と10月7日に鴻臚館展のギャラリートークを担当します。
美術の目線から、「源氏物語色紙帖」などの解説をします。

実は、9月から11月初めまで、
福岡市博物館では「金印ユニバーサルミュージアム」と題して、
体験学習室「みたいけんラボ」で、いろいろな触れるものを展示しています。
大きく作った金印や小さくした瓦の模型、匂いが嗅げる香など、見て、触って、匂って、弾いて楽しむコーナーです。
箏や琵琶を弾きに来ませんか?



また外国の方向けのパンフレットなども取りそろえ、ユニバーサルな2か月間を楽しむことができるのです。
  
この「金印ユニバーサル博物館」を企画したのは、元気なママ学芸員K。
鴻臚館シスターズといい、女性が大活躍の秋です。


posted by.米倉

2016年10月27日木曜日

「市史だより」創刊号・2号の音声データ

ユニバーサルデザインで歴史がもっと楽しくなる
福岡市史編集委員会&市史編さん室では、福岡の歴史・文化資源の魅力や、『新修 福岡市史』の編さん事業の活動をお伝えするため、広報誌「市史だより」を発行しています。
9号から21号までは、第4回「福岡検定」の参考書にもなっています。

さて、ある日、市史編さん室にすてきな贈り物がとどきました。

城南区を中心に活動している朗読ボランティアグループの「いつ美」さんが、「市史だより」の音訳データを作成し、CDに焼き付けたものを届けてくれたのです。

通常、朗読ボランティアの方々が読まれるものは、雑誌や小説などの読み物や、災害マップなどの安全情報・生活情報が多いとのこと。
「いつ美」のメンバーさんたちは、視覚に障がいのある方など、印刷物等から情報を得づらい方々にも歴史が大好きな方が多いことから、「市史だより」に注目されたそうです。

現在、「いつ美」さんが作成された「市史だより」の創刊号・第2号の音訳版は、一般社団法人 福岡市視覚障害者福祉協会のホームページにアップされ、音声データを自由にダウンロードすることができます。
ぜひご活用ください。



posted by shanshan


2016年3月26日土曜日

3D出力による「日本号」、手にとってみませんか?

すでにFacebookでお知らせしておりますが。
明日(3月27日)、福岡城さくらまつり開催中の三の丸スクエアにて、
3Dプリンターで出力した「日本号」を手にとれるイベントを開催します。

時間は、10:00〜12:00 2時間限定!(の予定です)。

一応、イベント名は
さわってみよう「さわる《金印ロード》の宝もの」

明日は、日本号以外にも、こんなのもお披露目します。















これ、何かといいますと、古代の迎賓館・鴻臚館(こうろかん)の建物再現CGのデータを、3Dプリンターで出力できるかたちに変換してつくった「掌★鴻臚館(てのひら★こうろかん)」です。

そもそも、「さわる《金印ロード》の宝もの」は、博物館が、地域コミュニティやユニバーサルデザインに取り組む市民とともに、やってきた「博多湾岸《金印ロード》プロジェクト」のアウトプットの1つです。

このプロジェクトは、金印発見のしま・志賀島と、金印のあるまち・シーサイドももち地区を結ぶ博多湾岸にひしめく歴史遺産の魅力を発掘・発見・発信するものです。
その一環として、さわることのできるコンテンツづくりに取りくんできたのです。

その成果を、桜咲く三の丸スクエアで、みなさんにご紹介するのが明日のイベントです。

午後からは、同じ三の丸スクエアのミーティングルームで公開研究会をします。
題して
歴史資源×デジタル技術×ユニバーサルデザイン 
〜まちとミュージアムの未来を拓く〜

ミュージアムの現場で、ユニバーサルデザインに取り組み、デジタル技術を取り入れて楽しいコンテンツづくりにはげむ仲間、クリエイター、そして福岡市のスタッフが集まって、研究会をします。

「魔法!?」と思えるデジタル技術は、ミュージアムをもっと楽しくする。
そして、
ユニバーサルデザインに取り組むことも、ミュージアムをきっともっと楽しくする。
そんなことを、わいわい話し合おうと思います。

どなたでも聴講可能です。
お花見のついでに、ぜひ、顔を出してください。

時間は14:00〜閉館(17:00)まで

★ゲスト
大河内智之氏(和歌山県立博物館
大橋智之氏(  〃           )
長沢 潔氏(クリエイター)
藤川敦志氏(キュリオ3D代表)
★福岡市スタッフ
赤坂 亨(福岡市 文化財部大規模史跡整備課)
本田浩二郎(福岡市博物館)
杉山未菜子(福岡市博物館)
★司会
有馬 学(福岡市博物館長)












postes by 学芸課:すぎやま

2015年12月13日日曜日

ナコピン、ユニバーサルデザインでも、がんばった!


福岡市博物館は、平成25年の常設展示室のリニューアルをきっかけにして、ユニバーサルデザインに取り組んでいます。

ミュージアムの世界が発信してきた内容は、これまで、きわだって「見ること」に限定されていました。
でも、ミュージアムが送り出せる楽しさは、「見ること」だけなのかな?
歴史や文化やアートの魅力を、「見ること」以外でも、すこしでも伝える方法を、探してみよう、試してみよう。
そんなが取り組みが、いま、全国ではじまっています。

福岡市博物館でも、新・奴国展と、福岡市の「ユニバーサル都市・福岡フェスティバル2015」にあわせて、11月3日から「金印ユニバーサル博物館 さわる奴国のおたから」を開催しました。

5倍!金印の模型をはじめとして、鏡、青銅の武器のレプリカをグランドホールで展示中です。自由に、手にとっていただけます。
ちょっとくらいなら、こわれちゃっても大丈夫、ちょっと…、ちょーっとならね…
弥生のテクノポリスが博物館の中にあり、奴国の匠の生まれ変わりが学芸員にいますので。

ここでもナコピン大活躍。




このコーナーも、本日、12月13日(日)の閉館までです。
残り少ない時間ですが、ぜひ、さわる奴国のおたからに、さわってくださいね。

posted by 学芸課:すぎやま