2026年1月7日水曜日

丙午(ひのえうま)のお正月

  新年明けましておめでとうございます。総館長の中野です...大変お久しぶりです。なんとなくはじめたこのコーナーですが、昨年の8月以来更新を怠っておりました。総館長の歴史講座「楽史の集い」を終えた後、その報告を兼ねて、都度都度更新していたのですが、昨年の後半にやった「関ケ原戦陣図屏風によせて」のあとは、そのままになっていました。お正月ということで気分一新、徒然(つれづれ)なるままに再開すべく、キーボードをたたいております。よろしくお付き合いください。

 表題にもあげたように、今年は丙午(ひのえうま)の年にあたります。かつては「丙午生まれの女性は気性が激しい」などという非科学的な言い伝えもあって、この年の出産を嫌うという、ほかの年にはない特別の意味合いがありました。さすがに少子高齢化社会となった現在では、そうした迷信や呪縛に関わってもいられないというところでしょうか。 時間(年)の数え方には紀元や元号など、ある年を起点に経過年を重ねていく、いわば直線的なシステムとともに、一定の年数で繰り返される循環的な、すなわち円環的なシステムがあります。西暦2026年や元号による令和8年などは前者で、丙午(ひのえうま)など干支(えと)による紀年法は後者となります。

 干支による紀年法とは、甲乙丙丁から始まる十干(じっかん)と、おなじみの子丑寅卯の十二支(じゅうにし)の組み合わせで年を表す方法です。ただし、その組み合わせは120通り(10×12)ではなく、60通りとなります。十干と十二支にはそれぞれ陽と陰とがあって一つおきになっており、陽同士・陰同士は結びますが、陽と陰との組み合わせはありません。ちなみに昨年は乙巳(きのとみ)で、乙(きのと)も巳(み)も陰の干支ですが、今年の丙(ひのえ)は陽干、午(うま)も陽支となります。したがって、組み合わせも陽の方が5×6、陰の方も5×6で、合わせて60通りとなります。逆に言えば、60年で干支がひとまわりしますから、今年は60年ぶりにめぐってきた丙午(ひのえうま)に当たるわけです。数え歳60のお祝いを還暦(生まれた年の干支に還る)と称するのも、この紀年法に由来します。

 ちなみに、十干十二支の漢字は元々万物(とりわけ植物)の栄枯盛衰の有様(象・しょう)を表したもので、十二支も動物(十二獣)を意味するものではありませんでした。十二支を親しみ易いようにするため、動物の意味を後付けしたものと考えられています。「馬」ではなく「午」、「羊」ではなく「未」など、普通に動物を示す漢字が用いられていないのはこうした事情に因ります。丙午(ひのえうま)の丙(ひのえ)は「火の兄」で、草木が伸長しその形体が著明になった状態、すなわち炳(あき)らかな様を表しています。一方の午(うま)は始まりの子(ね)の真反対に位置することから、万物が繁盛の極を迎え初めて衰微の傾向が起こりはじめた様を意味します。丙(ひのえ)の方はまだいいとして、年明け早々に飛び込んでくるニュースなどからは、なかなかに明るい未来は想像しにくく、午(うま)の方には妙な現実感を覚えてしまいます。

  さて、新年早々あらぬ方向に話が進んでしまいました。今年も博物館として市民のみなさまのご期待に添えるよう、微力ながらつとめてまいりますので、よろしくお願い致します。恒例の総館長の歴史講座「楽史の集い」は124日(土)午後に開催の予定です。年末からの番宣や「大河本」の洪水で、早くもいささか食傷気味ではありますが、秀吉の弟・豊臣秀長を取り上げたいと考えております。よろしくお願いします。


2025年11月に開催した総館長の歴史講座「楽史の集い」の様子


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