2016年9月15日木曜日

釣道楽の世界展 みどころシリーズ② 日本最古の釣り指南書「何羨録(かせんろく)」

釣道楽の世界展の見どころなどをご紹介するシリーズ。
第2回は「日本最古の釣り指南書「何羨録(かせんろく)」」です。


※写真は「河羨録」(岐阜県図書館本 部分)

この本、何がすごいのかというと、とにかく“総合的”なのです。

冒頭では中国の古典を引用して釣り人の心得(美学)を説き、江戸周辺の釣り場を紹介、それから道具をイラスト入りで解説、さらには天気の予測の仕方を伝授などなど、釣りに関するあらゆる情報を網羅しています。

特に面白いのが釣り鉤の部分。絵の脇に「○○流」とあり、武道や芸道のように釣りにも流派があるように書かれています。

さて、この指南書、いったいいつ頃のものだと思いますか?

いろいろ説はあるのですが、享保元(1716)年か同8(1723)年には成立していたといわれています。今から300年も前です。

そして、気になる著者は、津軽采女(つがるうねめ 16671743)という人物です。この人、政兕(まさたけ)という立派なお名前がございまして、本来の身分は4000石の旗本。陸奥弘前藩主津軽家の分家の三代目にあたる人物です。そして、なんと妻の実父は忠臣蔵で有名な吉良上野介こと、吉良義央。

この本は采女が40代後半〜50代前半に執筆したものですが、彼が若い頃から長年にわたって培った釣りのノウハウが凝縮されていることと推測されます。

大坂夏の陣が終わって100年余り、島原・天草の一揆から数えても80年以上が経ち、実戦を経験した武士が居なくなっていた時代、釣りを武道のように理論化し洗練させていこうとする人物が登場してきたのは面白いことです。

本展ではこの「何羨録」の良質な写本を2種類(岐阜県図書館蔵、国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所蔵)展示します。

仁者は静を、智者は水を楽しむ

冒頭の言葉に本書の精神が凝縮されています。

学芸課 宮野

※「何羨録」には写本によって「何」と「河」の違いがあります。


2016年9月12日月曜日

釣道楽の世界展 みどころシリーズ① 洛中洛外図には釣り人がいっぱい

釣道楽の世界展の見どころなどをご紹介するシリーズ。
第1回は「洛中洛外図には釣り人がいっぱい」です。 

いきなり釣りと関係ない話題で恐縮ですけれど、『ウォーリーをさがせ』とか『旅の絵本』とか、人がたくさん描かれている絵本って楽しいですよね。主人公をさがし出すのはもちろんのこと、その周囲で展開されている様々な物語を見つけ出すのが、またオツです。

その本家本元とも言えるのが、「洛中洛外図」。当館も狩野孝信の作品で重要文化財に指定されているものを所蔵しています。昨年だったでしょうか、Google Cultural Instituteで拡大しながらぼんやりと見ていたら、いたんですよ、釣り人が

※当館蔵 洛中洛外図屏風 はこちらからどうぞ→ Google Cultural Institute



[写真 洛中洛外図屏風(部分)福岡市博物館蔵]
 商家の若旦那がウグイかアユを!!


これは面白いぞ、と思いまして、他の屏風や絵巻もさがしてみたら、出てくる、出てくる、楽しそうに釣りをしている人たちがあちらこちらに描かれていることが分かってきました。

娯楽としての釣り文化が大きく花開いたのは17世紀中頃以降の江戸といわれていますので、それ以前の様子が見えてきたのは、大きな感動でした。

とはいえ、本展は「絵画の中の釣り」展ではなく「釣道楽の世界」展です。したがいまして、今回は絞りに絞って江戸時代の初めに描かれた4点の屏風を展示します。絵の中に釣り人が何人いるか実際ご覧になってさがしてみて下さいね。最初のコーナー「Ⅰ 遊釣文化の黎明」に展示しています。どうぞお楽しみに。

このコーナーに展示している近世初期に描かれた風俗図屏風
1 川口遊里図屏風 十曲一隻 大阪歴史博物館所蔵《大阪市指定有形文化財》(全期間)
2 洛中洛外図屏風 六曲一双 神戸市立博物館所蔵(全期間)
3 洛中洛外図屏風 六曲一双のうち右隻 福岡市博物館所蔵《重要文化財》9/17-10/16
4 四条河原歌舞伎図屏風 六曲一隻 福岡市博物館所蔵(10/18-11/6


学芸課 宮野



2016年9月10日土曜日

釣道楽の世界より展示品紹介 - 西郷(せご)どん自作のイカ餌木

いよいよ「釣道楽の世界」の開幕まで、後1週間となり慌ただしくなってきました。特に学芸員は、大忙しです。そして、こちらは、展示が間に合うのか?!とハラハラドキドキ(笑)。

ちょっとブレイクして、展示品をInstagram(@fukuoka_city_museum)で紹介してみました!先日発表された2018年大河ドラマ「西郷どん」にからめて、西郷隆盛自作のイカ餌木です。



画像の左側にあるのが、イカ餌木の絵葉書(学芸員の私物)。「釣道楽の世界」では本物が展示されますが、まずは今すぐInstagramをチェックしてみてください!
https://www.instagram.com/p/BKKMLssh321/

#釣道楽 をつけた、みなさんのInstagram投稿もお待ちしてます〜。

posted by いわさ

2016年9月9日金曜日

圧切長谷部のペアルック、ただいま展示中!

重要文化財・金霰鮫青漆打刀拵、刀 名物「安宅切」を展示中!


圧切長谷部の拵は、これをまねて江戸時代に作られたものです。
重要文化財への指定は拵の方ですが、刀身も名物にあげられ「安宅切」の号を持ちます。
黒田官兵衛の愛刀の一振りで、四国攻めの際、淡路の安宅河内守を討ち取ったことが名称の由来となっています。金象嵌銘「あたき切 脇毛落」は、後に試し斬りを行った際に切られたもので、切れ味の鋭さを物語っています。刀工は末備前の名工、長船祐定です。
上の写真が安宅切の拵、下が圧切長谷部の拵です。同じ仕様ですが、反りの違いが特徴的です。
展示は10月10日(月・祝)まで。お見逃しなく!


国宝・刀 名物「圧切長谷部」の展示は、来年1月5日(木)~2月5日(日)です。





展示担当:堀本

2016年9月8日木曜日

An Exhibition specialized in angling culture will start Saturday September 17th !

The Great Amazon Exhibition finished on September 4th. Thank you very much to those of you who came to see the exhibition! It finished successfully, welcoming more than 110,000 visitors through its door. The next special exhibition is “THE ANGLING CULTURE IN JAPAN : History,Diversity,and Philosophy of Fishing”

It is said that Japanese people started to enjoy angling as a hobby rather than a part of livelihood in the Edo era. This exhibition is focused on angling for joy, not for livelihood. The exhibition includes beautiful angling goods that are fun to just to look at, colorful pictures of fishes and some sections dedicated to heroes in angling world.

左上)開高健の名が刻まれた記念モデルリール(開高健記念館蔵)、(右上)洛中洛外図屏風(部分)(福岡市博物館蔵)
(左下)開高健が使用していたルアータックル(開高健記念館蔵)、(右下)鱸釣り道具(朝倉彫塑館蔵)

We are very confident that the exhibition will be amusing not only for people who love angling, but also for people who have no knowledge about fishing. Please don’t miss it!

Please check out the following website.
http://tsuri-douraku.jp/

Press Officer
Takamura

福岡市博物館オリジナル企画!娯楽としての釣り文化をテーマとした「釣道楽の世界」いよいよ9月17日(土)開幕!

大好評を博した大アマゾン展、11万人を超える来場者数を記録し、9月4日(日)をもって終了しました。たくさんのご来場誠にありがとうございました。
次は、いよいよ9月17日(土)から当館オリジナル企画の特別展「釣道楽の世界―多彩なる水の趣味文化」がはじまります!


「娯楽としての釣り文化」は江戸時代に花開いたと言われています。本展覧会は娯楽の釣り文化に焦点をあてた今までにない展覧会です。見た目にも楽しい釣り具の数々や、色彩豊かな美しい魚譜、芥川賞作家・開高健氏の釣道楽ぶりや、おなじみのマンガ『釣りキチ三平』の迫力あふれる釣りシーンの原画など、幅広くご紹介します。


左上)開高健の名が刻まれた記念モデルリール(開高健記念館蔵)、(右上)洛中洛外図屏風(部分)(福岡市博物館蔵)
(左下)開高健が使用していたルアータックル(開高健記念館蔵)、(右下)鱸釣り道具(朝倉彫塑館蔵)

釣り好きの人には勿論、そうでない方にも楽しんでいただける内容となっておりますのでどうぞお楽しみに。

すてきな特設ホームページも開設してますのでチェックしてください☆
http://tsuri-douraku.jp/

広報担当
高村

2016年9月3日土曜日

明日、4日(日)は通常開館を予定しています。



明日、4日(日)は台風12号が接近していますが、今のところ通常通り開館を予定しています。ただし、台風の状況によっては臨時休館の場合もありますので、今後の気象情報に留意ください。臨時休館の場合は、ブログ等でお知らせいたします。

また開館の場合も、ご来館の際は天候に十分注意の上、気をつけてお越しください。

posted by いわさ