2018年6月5日火曜日

浄土九州展ブログ 西方に極楽あり その3

展覧会タイトル①

展覧会を企画するとき、意外に悩むのが展覧会タイトルとキャッチコピーです。

それはズバリ?!お客様の入りに直結する要素だから!

中身が分かるか?シンプルか?そもそも漢字が読めるか?などなど、受け取る側に立ってあれこれ考えます。

2014年に僕が企画した展覧会では「九州仏(きゅうしゅうぶつ)」という造語をメインタイトルに据え、「奈良や京都の仏像は素晴らしい。だが、九州の仏像はもっと素敵だ。」というコピーを用いました。

http://museum.city.fukuoka.jp/archives/exhibition/2014/kyushubu/

後から気付いたのですが、タイトルは完全なオリジナルではなく、学生時代に読んだ、みうらじゅん・いとうせいこう著「見仏記」(九州編)に出てくるのが初出のようです。そのことは九州仏展のイベントでお二人をお招きした際に直接伝えました。

いっぽう、「奈良や京都の・・」というコピーは帰宅途中のJR筑肥線の車内でふと思いついたものです。かなり挑戦的な言葉で、ある程度の反発や冷笑をあびることも覚悟していましたが、結果的に展覧会を通じて九州地方の仏像がもつポテンシャルを多くの皆様に知っていただけたと思っています。

今回は九州地方の浄土教美術を集めるので、「九州の浄土教美術」という言葉が必ず必要となります。しかし、これを前面に押し出すとなんだか硬くて、一部のコアなファンはともかく一般には敬遠されそうです。

今や様々な情報が氾濫し、価値観が多様化し、あらゆる境界が曖昧になる時代。

「インスタ映え」という流行語が象徴するようにキャッチーであること、そしてはっきりとした「重力」のあるタイトルが求められている気がします。そこで、今回は「浄土九州」をメインタイトル、「西方に極楽あり」というコピーを前面に出すことに決めました。

ただ、これも決して軽いノリで決めたわけではないのです(続きは次回)。

Posted by 末吉(浄土九州展担当学芸員)

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