なんだか水辺の風景は懐かしい
大きな菓子箱いっぱいの古絵はがき。まことに偶然だったのだが一番上の一枚に釣り姿が写っていたのである。三十年ほど前、なじみの古書店でのことだった。「よろしければどうぞお持ち下さい、差し上げます」と言ってくれたのだが、千円札を一枚置いて持ち帰ったのである。戦前の観光地のもので三百枚くらいあっただろうか。ゆっくり調べてみたのだが「釣り」は結局この一枚だけだったのである。
釣り文献コレクター・金森直治氏は、「釣り」絵葉書コレクションの最初の一枚について、このように著書『絵はがきを旅する つり人水辺のアーカイブ』(つり人社 二〇一二年)で振り返っています。このあと三十年以上にわたって収集したコレクションを、金森氏は、福岡市博物館へご寄贈くださいました。
今回の展示では、近代化のなかで凄まじく変わってしまった川・湖・海岸・港などの水辺の風景を、古い絵葉書の中から拾い上げていきます。寄贈された「釣り」絵葉書を中心に、在りし日の日本の水辺の風景をお楽しみください。
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