この土地で何を思ってうたをよむ
しらぬひの筑紫の綿は身に着けていまだは着ねど暖けく見ゆ
こたつから離れがたい季節が深まってまいりました。冒頭は、この一年大きな注目を集めた『万葉集』より、筑紫の特産品であった真綿(絹)から暖かさを想起する一首です。詠んだのは大宰府の観世音寺を造る職に就いた沙弥満誓(しゃみまんせい)。ほかにも柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)、大伴旅人(おおとものたびと)など『万葉集』には、時代を代表する詠み人たちによる筑紫での歌が多く残されています。
筑紫と歌、残されているのは奈良時代に編まれた『万葉集』だけではありません。平安時代の華やかな宮廷での生活が書かれた『源氏物語』には、乳母に伴われ筑紫の地で暮らした女性、玉鬘(たまかずら)が登場します。源平合戦で都落ちしてゆく平家は、大宰府の地で歌を詠み、連歌したといわれます。
古代に筑紫に訪れたさまざまな人々は、さまざまな場所でうたを詠みました。なぜやってきたのか、どのようにここで過ごしたのか、詠み人たちに迫りながら、うたが詠まれた背景を探ってみたいと思います
展覧会詳細はこちらから↓
http://museum.city.fukuoka.jp/exhibition/548/
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