福岡市博物館ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、未来の学芸員を育てる「博物館実習」についてのお話です。
皆さんは、「学芸員」という職業をご存じですか?
そう、博物館や美術館で見学できる展示を企画し、つくっている博物館の職員のことです。
学芸員は、博物館法で資格要件を定めている専門職です。
このため、学芸員の資格を取得するためには、大学で博物館に関する知識を得た上で、博物館活動を実地で学ぶ必要があります。
そこで、福岡市博物館では、毎年夏に、県内外の大学から学芸員を目指す大学生を受け入れ、実際に学芸員の仕事を学ぶ「博物館実習」を実施しているのです。
今年も、10の大学から12名の大学生を受け入れ、のべ7日にわたって、古代・中世、近世、近現代、美術、民俗、考古、教育普及の各分野の学芸員・職員が、実習の指導にあたりました。
資料の展示だけが学芸員の仕事ではありません。
最後には、未来の博物館に関する3つの課題を班ごとに議論し、その成果を発表しあうことで、実習のまとめとしました。
[Aグループ]
通いたくなる展示、珍しいものが見られたという満足感、わかりやすく学べるの3つを軸に、現代から古代にさかのぼる「タイムトラベル」案が示されました。
[Bグループ]
カフェやレストランを設置し、食材の調達や飲食店の出店などを通じて、地域とのつながりをつくる案がひとつ。
さらに、大学生を中心としたボランティアを募り、博物館での情報提供や館内外でのイベント(池の清掃やウォークラリー、マルシェなど)を開催するのはどうかという意見でした。
[Cグループ]
キャンパスメンバーズ制度の導入や、周辺文化施設と共通のテーマで展示を行って回遊性を高めるのはどうかという意見が。
また、市民のくらしと結びつく情報発信を充実させ、休憩スペースを拡充することで居心地良くし、若い世代が気軽に楽しめるような環境づくりをする案が示されました。
実習生の皆さん、本当にお疲れさまでした。
当館の学芸員たちも、何事にも真摯に取り組む実習生の皆さんと一緒に仕事をすることで、新たなパワーをもらいました。
博物館の未来につながる「博物館実習」。
これからも続けていく、大切な博物館活動のひとつです。
(文責:博物館実習担当 松尾奈緒子)
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