2024年6月5日水曜日

特別展「大灯籠絵」を楽しむために その4「造り物」って?

 この秋、福岡市博物館では、特別展「おおとうろう」を開催します。

展覧会の開催に向けて、「大灯籠絵」にまつわる話題をお届けします。

 

この連載ブログのその2()()()()(かん18991976)さんの著書『博多年中行事』を取り上げ、

「夏祭風景」の項目で、一番に挙げられているのが「大灯籠」という話をしました。

そして「夏祭風景」には、2番目は「(せん)(とう)(みょう)」、3番目は「(つく)(もの)」が数えられていることにふれました。

「千灯明」は今も耳にすることがありますが、「造り物」って?

 

『博多年中行事』(1935年発行)によれば

之(造り物)は主に歌舞伎狂言に取材した精巧な実物大の人形をかざるもので、その大仕掛けな野外造り物は流灌頂のものである。

とあります。

 

さらに、江戸時代に(おく)(むら)(ぎょく)(らん)17611828)が著したガイドブック『(ちく)(ぜん)(めい)(しょ)()()』(1821年完成)にも

大師堂ハ竪町浜(現・博多区大博町)にあり……(中略)……七月廿五日流灌頂の法事あり 其夜ハ此辺の家々灯明茶菓を献じ 偶人様の見セものを出して さなから盆中の賑ひに異ならず

と、(おお)(はま)(ながれ)(かん)(じょう)が紹介されていて、偶人=人形を飾る造り物があり、非常に賑わっていたことが記されています。

 

大灯籠に負けず劣らず、造り物は夏祭りの呼び物で、人々を引き付ける魅力のあるものだったようです。

とはいうものの、写真がないとどうもピンときません。

そこで登場するのが、またしても佐々木滋寛さん。

滋寛さんの写真コレクションに、大浜流灌頂の造り物をバッチリ撮った写真がありました。

高さ4m以上ありそうな岩山を背景に、等身大の騎馬武者などが躍動的にならぶ造り物。子どもたちが興味津々で人形を見上げている。
等身大の騎馬人形などが躍動的にならぶ「造り物」 松源寺蔵

今から100年くらい前の写真のようです。

どうですか、ちょっと意表をつくような大きさではありませんか?!

 

こんなスケールの大きな造り物とともに、

夏祭りを彩った大灯籠(現在も彩っている現役のものも含め)が、

この秋,福岡市博物館に大集合します。

お楽しみに!!

(by おーた)

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