2026年1月8日木曜日

「魔法の歴史スコープ」鑑賞ガイド   第1回 手始めは「テーマでめぐる常設展ギャラリートーク」

 


福岡市博物館では、2026221日(土)から412日(日)まで、特別展「魔法の歴史スコープ~見つめてみよう福岡の今~」を開催します。「人と環境の関わりの歴史」にスポットをあて、「今」そして「未来」を考える展覧会です。

このブログでは、展覧会を楽しむためのアレコレを紹介したいと思います。

福岡市博物館では、博物館だより『Facata(ファカタ)』を発行しています。『Facata』には、「テーマでめぐる常設展」という特集ページがあり、2,121㎡もの広さがある常設展示室を楽しむヒントを掲載しています。2025年春号は「顔」、夏号は「海」、秋号は「まじない」をテーマにして常設展をご案内しました。『Facata』の特集を片手に、学芸員が常設展をご案内するギャラリートークも毎号開催しています。

そして、12月25日に発行した最新号は、「大地を拓く」特集!! 展示室の各所に設置しているジオラマにスポットをあて、「人と環境の関わりの歴史」を紹介しています。

「あれっ? 同じフレーズを見たぞ」

そうです、まさに特別展「魔法の歴史スコープ」のテーマです。特別展の担当者Aの渾身の書下ろし特集なのです。……ということで、特別展「魔法の歴史スコープ」の核心にせまる「テーマでめぐる常設展ギャラリートーク」も開催します。

開催日時:2026年1月17日(土) 午後2時~3

集合場所:福岡市博物館2階 常設展示室入口

参加費:無料 ※常設展・企画展の共通観覧券が必要(中学生以下は無料)

参加方法:事前申込不要、時間にあわせて上記集合場所にお集まりください

221日からの特別展の核心に、一足先にふれることができるギャラリートークです。ご案内するのは、もちろん特別展の担当者A。皆さまのお越しをお待ちしています。

by おーた


2026年1月7日水曜日

丙午(ひのえうま)のお正月

  新年明けましておめでとうございます。総館長の中野です...大変お久しぶりです。なんとなくはじめたこのコーナーですが、昨年の8月以来更新を怠っておりました。総館長の歴史講座「楽史の集い」を終えた後、その報告を兼ねて、都度都度更新していたのですが、昨年の後半にやった「関ケ原戦陣図屏風によせて」のあとは、そのままになっていました。お正月ということで気分一新、徒然(つれづれ)なるままに再開すべく、キーボードをたたいております。よろしくお付き合いください。

 表題にもあげたように、今年は丙午(ひのえうま)の年にあたります。かつては「丙午生まれの女性は気性が激しい」などという非科学的な言い伝えもあって、この年の出産を嫌うという、ほかの年にはない特別の意味合いがありました。さすがに少子高齢化社会となった現在では、そうした迷信や呪縛に関わってもいられないというところでしょうか。 時間(年)の数え方には紀元や元号など、ある年を起点に経過年を重ねていく、いわば直線的なシステムとともに、一定の年数で繰り返される循環的な、すなわち円環的なシステムがあります。西暦2026年や元号による令和8年などは前者で、丙午(ひのえうま)など干支(えと)による紀年法は後者となります。

 干支による紀年法とは、甲乙丙丁から始まる十干(じっかん)と、おなじみの子丑寅卯の十二支(じゅうにし)の組み合わせで年を表す方法です。ただし、その組み合わせは120通り(10×12)ではなく、60通りとなります。十干と十二支にはそれぞれ陽と陰とがあって一つおきになっており、陽同士・陰同士は結びますが、陽と陰との組み合わせはありません。ちなみに昨年は乙巳(きのとみ)で、乙(きのと)も巳(み)も陰の干支ですが、今年の丙(ひのえ)は陽干、午(うま)も陽支となります。したがって、組み合わせも陽の方が5×6、陰の方も5×6で、合わせて60通りとなります。逆に言えば、60年で干支がひとまわりしますから、今年は60年ぶりにめぐってきた丙午(ひのえうま)に当たるわけです。数え歳60のお祝いを還暦(生まれた年の干支に還る)と称するのも、この紀年法に由来します。

 ちなみに、十干十二支の漢字は元々万物(とりわけ植物)の栄枯盛衰の有様(象・しょう)を表したもので、十二支も動物(十二獣)を意味するものではありませんでした。十二支を親しみ易いようにするため、動物の意味を後付けしたものと考えられています。「馬」ではなく「午」、「羊」ではなく「未」など、普通に動物を示す漢字が用いられていないのはこうした事情に因ります。丙午(ひのえうま)の丙(ひのえ)は「火の兄」で、草木が伸長しその形体が著明になった状態、すなわち炳(あき)らかな様を表しています。一方の午(うま)は始まりの子(ね)の真反対に位置することから、万物が繁盛の極を迎え初めて衰微の傾向が起こりはじめた様を意味します。丙(ひのえ)の方はまだいいとして、年明け早々に飛び込んでくるニュースなどからは、なかなかに明るい未来は想像しにくく、午(うま)の方には妙な現実感を覚えてしまいます。

  さて、新年早々あらぬ方向に話が進んでしまいました。今年も博物館として市民のみなさまのご期待に添えるよう、微力ながらつとめてまいりますので、よろしくお願い致します。恒例の総館長の歴史講座「楽史の集い」は124日(土)午後に開催の予定です。年末からの番宣や「大河本」の洪水で、早くもいささか食傷気味ではありますが、秀吉の弟・豊臣秀長を取り上げたいと考えております。よろしくお願いします。


2025年11月に開催した総館長の歴史講座「楽史の集い」の様子