2017年2月21日火曜日

学芸員レポート~その8~

先週は福岡でも雪が積もった日がありましたね。
フィンランドの人は雪の呼び方(種類)にこだわりがあるようで、昼間に舞う雪を見た私が「雪が降ってきた!」と言うと、「いいや、これはアイス(氷)だ!」と訂正されました。
雪になじみのない場所に住んでいる私にとっては、どう違うのかわかりかねる感覚です。

もちろん、日本でも雪や氷の呼び方は様々ありますね。
フィンランドと日本は自然が豊かなので、自然の変化に敏感な点が共通している部分かもしれません。

そんな氷を表した作品が、今回の展覧会にも数点展示されています。
今回はその中のひとつをご紹介。
タピオ・ウィルカラの「ウルティマ ツーレ」シリーズ。
世界の終わり、極北の地を意味するこのシリーズは、氷が溶ける様子にインスピレーションを受けて作られたと言われています。



今回は上からのぞき込めるように展示していますが、ぜひ少し身をかがめて横からも見てください。
今まさに氷から水滴がしたたり落ちるような瞬間が見事に表現されています。

日本にも、氷を表したものがあります。
陶磁器の表面にあらわれる氷裂文(ひょうれつもん・ひわれもん)。
釉薬の貫入の状態が氷が割れる様子に似ていること、またはその文様を描くことを言います。
また、着物の表現として氷が使われることもあります。



写真は、福岡市博物館所蔵の雪下氷割文様帷子(ゆきのしたこおりわりもんようかたびら)。
*通常は展示されていません。
雪が降っても、その下には緑の葉があるからその名が付けられたというユキノシタ。
割れた氷と、寒さの中でもその青さ・みずみずしさを保つユキノシタが配された美しい文様です。

自然をデザインに取り入れる。
フィンランドと日本の文化の共通点を意識しながら見てみると、また違った発見があるかもしれませんね。

サブ担当学芸員:ふくぞの(出身は南のほうです。)

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