奈良の秋の風物詩「正倉院展」。
今年は10月28日から開催予定です。
「正倉院展」は、鴻臚館展を当館とともに主催している読売新聞社の企画で、
9月30日には福岡でも「正倉院フォーラム福岡」がおこなわれます。
*応募は締め切られています。
正倉院は、ご存じのとおり聖武天皇が亡くなった後、光明皇后が天皇の遺愛品を奉納したのが始まりで、東大寺の寺域内に造られました。
鴻臚館展でも正倉院宝物の双六局の模造品をはじめ、関連資料を展示しています。
その中の1点、正倉院宝物の一部であったと伝わる小さな名品があります。
それは「蘭奢待」(らんじゃたい)。
永青文庫所蔵
蘭奢待とは、香木の一種で、「黄熟香」という名が目録での名称ですが、後に蘭奢待と呼ばれるようになったようです。
蘭奢待のそれぞれの字の中に「東大寺」という名が隠されています。
蘭奢待は、第一の名香として、歴史上の人物によって少しずつ切り取られました。
最も有名なのが織田信長。
そのほかにも足利義政、明治天皇なども切り取っています。
今回展示している蘭奢待は、長さ3cmほどの小さなもので、戦国武将細川藤孝が所有していたものと伝わっています。
細川藤孝は細川幽斎とも呼ばれ、足利将軍家と織田信長に仕えた戦国武将です。
藤孝が所有していた蘭奢待は、あるいは信長からもらったものかもしれません。
正倉院に納められた貴重な品物が、織田信長の手を経て現代まで伝わり、皆さんの前に現れたかもしれないと考えると、歴史の不可思議さを感じざるを得ません。
他にも「買新羅物解」(ばいしらぎもののげ)と呼ばれる、当時の国際交易品を列記した超重要文書を展示しています。
こちらも元々は正倉院宝物の中でも、かの有名な鳥毛立女屏風の下貼に使われていたため、現代まで奇跡的に伝わった文書です。
こちらは画像をお見せできませんが、10月9日(月祝)までの限定公開。
ぜひお見逃しなく!
posted by.米倉
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