2021年3月31日水曜日

帰ってきたコクホー金印ちゃん

 私の名前は金印ちゃん。今からだいたい2000年前、中国の都だった洛陽ラクヨーで生まれ………って自己紹介はもういいわよね〈註1〉。福岡市博物館の看板娘!みんな私のこと知ってるでしょう?

 

1 金印ちゃんの自己紹介はこちら↓

  http://fcmuseum.blogspot.com/2020/11/blog-post_13.html

 

普段は博物館の常設(ジョーセツ)展示室(テンジシツ)ってところでお仕事してるんだけど、しばらくの間、福岡市美術館(ビジュツカン)ってところにお出かけしてたの〈註2〉。昔のお友達がたくさんいるのよ。何もせずに居候(イソーロー)ってわけにもいかないから、こっちでもお仕事したわ。私が来てること、どこで聞いたのか知らないけど、いくつか取材も来たんだから。どこにいても注目の的ね。

 お客さんの中には博物館にいるのは私のそっくりさんで、今回初めて本物が見れたって思った人もいるみたいよ〈註3〉。博物館でも頑張ってるのに、失礼しちゃうわ。いつも私の美しさをうまく表現できていないってことなんじゃない?もうちょっと頑張ってほしいわね。

 

註2 金印ちゃんの家出編はこちら↓

   http://fcmuseum.blogspot.com/2020/12/blog-post_17.html

註3 博物館で常設展示している金印は、レプリカと間違われることが多い。

 

 そうそう、博物館から出て行って何か月も経ったんだけど、こないだやっと連絡が来たのよ。「そろそろ戻って来てほしい。」って。“そろそろ”じゃないわよ、まったくもう。出ていくときに引き留めなさい。乙女心のわからない人たちね。

 まあ、いいわ。私がいない間に、お部屋もきれいにしてくれたみたいだし、お休みのとき用のベッドも新しく買ってくれたそうよ。前のベッドも50年以上使ってて、気に入ってたんだけど、ちょっとあちこちガタがきてて・・・。もし寝てる間に壊れて落っこちちゃったら痛いじゃない?少し丈夫になったのよ。



金印ちゃんの新しいベッド

 

そんなこんなで、また博物館でのお仕事することにしたわ。今はいろいろと暗い世の中だけど、私の輝きで明るく照らしていきたいわね。きっとまた活気が戻ることを信じて、頑張っていきましょう!

これからもよろしくね。会いたくなったら、私はいつでも待ってるわ。じゃあ、またね。

 

コクホー「漢委奴国王」金印ちゃん ―完―

 

(学芸課 あさおか)

2021年3月10日水曜日

福岡市博物館休館中通信 資料収集のお仕事

 3月になり、日差しも一段と暖かさを増しています。博物館では、来月からの開館に備えて着々と準備を整えている最中です。

 

休館の間でも、博物館では資料収集活動を続けていました。資料が増えていくにつれて、博物館が紹介できる歴史やくらし、芸術の魅力も増していきます。つまり、博物館の魅力向上のため、資料の収集は欠かせない仕事なのです。

 

※資料収集の方法はfacata109に掲載しています。

※資料収集から新収蔵品展での公開の流れはfacata113に掲載しています。


資料収集の第一歩は、資料と出会うことです。博物館に寄せられる電話やメール、直接の持ち込み、他部署と連携した調査など、出会いのきっかけはさまざま。博物館での活用が見込めるものは、一旦博物館でお預かりして、以下のような手順で博物館の資料として収集します。

 出会いを求めて外へ出かける博物館職員

 

大切に保管されていたモノの中には、経年による劣化や汚れがある場合もあります。掃除もまた、博物館の重要な仕事です。

丁寧に埃を払うと、モノ本来の色や形が見えてきます 

お預かりした資料は、11点を確認しつつリスト化して整理します。細かく見ていくことで、モノの状態、使用痕、書き込みといった小さな発見があります。ちなみに、例年は10002000点程度ですが、今年は4000点以上を整理しました!

整理の中で本のタイトル、著者、発行者を確認する

お預かりした資料の博物館への受け入れで重要なのは、外部有識者で構成される「資料収集委員会」の意見です。委員会では、所有者別に陳列された主な資料を委員が確認します。それぞれの資料の特徴については学芸員が説明します。

「資料収集委員会」の様子

「資料収集委員会」を経て博物館への受け入れが決まった資料は、所有者に連絡して書面で正式に手続きを交わします。このようにして毎年、博物館に新たな資料が収集されています。


博物館の資料収集活動は、所有者のご厚意とご協力によって支えられています。末尾になりましたが、御礼と今後とも変わらぬご支援をお願いいたします。(学芸課 野島)