2020年5月17日日曜日

福岡市博休館中通信PART2 6色の虹に寄せて

5年前(平成29年/2015年)の5月、福岡市博物館では、特別展「宮沢賢治賞受賞記念 藤城清治展 愛の贈りもの」を開催中でした。
毎日たくさんの来館者をお迎えしていました。

その展覧会に寄せた、福岡市博物館長(現総館長)・有馬学のブログを以下に転載します。

***【館長ブログ】『藤城清治展』 わたしのひそかなおすすめ 平成27年(2015)5月11日投稿 ***


さて、現在開催中の『藤城清治展』(〜5月24日まで)における、私の密かなお薦めはこれです。

タワーを描いた作品の少し前の小さなコーナー、The Gayです。

今回の展覧会で、東郷健さんが藤城さんの従兄弟だということを初めて知りました。
東郷健といえば、自ら「オカマ」を名乗って、選挙のたびに立候補していた泡沫候補を記憶しておられる方も多いでしょう。
誰もが単なる売名行為と思っていた東郷健の選挙は、しかし今風にいえば、偏見と闘って同性愛者の存在と権利を認知させようとする、1つのゲイ・ムーブメントだったのです。

テレビの画面でオネエ・キャラがもてはやされる現在とは時代が違います。1960年代(半世紀も前!)にカミングアウトして、差別と偏見の中で困難な道を選んだ東郷健さんの生き方に、藤城さんは強い連帯感を表明しています。

展覧会のゲイ・コーナーでは、藤城さんが描いた機関誌The Gayの表紙をはじめ、誌上をかざったさまざまな作品を見ることができます。東郷健さんは、2012年に満89歳で永眠されました。

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今日、5月17日は「多様な性にYESの日」(International Day Against  Homophobia, Transphobia and Biphobia) です。

性的少数者に対する偏見や、それに基づく非合理的で理不尽な処遇に対して、尊厳を守り社会的な受容と改善を求める運動が、世界各地で行われています。
その運動が旗印にしてきたのが、レインボーフラッグ。6色の虹です。

福岡市植物園(福岡市中央区小笹)では、6色の虹を花の色で表現した「レインボー花壇」が咲き誇っているそうです。
この取組みは、平成30年(2018)から始まり、毎年、より美しい花壇になるよう改良を重ね、今年は会心の出来映え!
今日、5月17日にこそ、多くの人とともに、この花壇の鮮やかさをみなさんと分かち合いたかったことでしょう。
我々同様、新型コロナウイルス感染症の影響で植物園も閉園中ですが、オンライン企画を実施中。

お花でできた美しいレインボーフラッグ。
関係者の方がSNSに投稿した花壇の写真を見て、花が根をはる土壌のように、土を潤す水のように、半世紀以上前から、差別と偏見に抗して尊厳をかけ、社会へはたらきかけ続けたひとりの人を思い出しました。

そして、明後日の5月19日(火)から、植物園も博物館もオープンです!
ご来園・ご来館にあたっては、お出かけ前の体調チェックとマスク着用をお忘れなく。

posted by ShanShan

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