2020年12月28日月曜日

福岡市博休館中通信 休館中も活躍する資料たち

 休館中ならではの話題をお届けする「福岡市博休館中通信」。
今回は、「休館中も活躍する資料たち」をご紹介します。

福岡市博物館は、電気設備の更新・トイレの改修工事のため、来年3月末までの予定で休館中です。しかし、休館の間も、博物館から出かけて活躍している収蔵資料もあります。

この特別展示の期間中(328日まで)、美術館のミュージアムショップでは、

先日、北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館)から3人の学芸員が、休館中の福岡市博物館にいらっしゃいました。
年明け12日(土)に開幕する 名刀「博多藤四郎」の輝き で展示される資料の借り出しのためです。
いのちのたび博物館の学芸員3人、福岡市博物館の学芸員2人で、1点ずつ資料の状態をチェックし、
美術品輸送専門業者の専門スタッフ4人で、丁寧に梱包。

今回、福岡市博物館から貸し出す資料は、名刀「博多藤史郎」を小倉藩主・小笠原家に贈った福岡藩二代藩主・黒田忠之ゆかりの品々など17件。

緊張する作業は、朝から午後3時過ぎまで続きました。

福岡藩二代藩主・黒田忠之の甲冑。兜はナマズの尾をかたどっている


福岡市博物館から貸し出す資料のうち、
福岡藩二代藩主黒田忠之の甲冑(黒漆塗鯰尾形兜・鶉巻紺糸威丸胴具足・小具足付)は、
展覧会のチラシにも、ド~ンと掲載していただいています。 

いのちのたび博物館はWeb事前予約制を導入されているそうですが、
他の博物館で活躍している福岡市博物館の資料の様子も、機会があれば、ご覧ください。


福岡市博休館中通信  博物館は休館中でも「出前学習」は盛況です☆ (しめ縄づくり編)

  博物館は休館中でも、博物館の教育普及担当スタッフは、福岡市内の学校に体験学習プログラムをたずさえて出かけています。(「出前学習」と呼んでいます)

しめ縄づくりを始める前のレクチャーの様子

 12月は、しめ縄作りの体験学習を希望する学校が多いです。

 稲作のはじまりやワラを使った道具の数々などについての解説を経て、実際にワラを綯(な)い、しめ縄を作る体験を小学校で実施しています。

小学生が自分で綯(な)ったワラを、輪にした状態

 稲作が伝わった歴史や、コメを食べる以外のイネのさまざまな用途を学ぶことで、小学生は、イネが日本人の暮らしに深く結びついていることを実感できるようです。

造花などで華やかに飾った2つの輪じめ(輪飾り)の様子

 さらに、ワラは燃料になったり、その灰は土の肥料になったり……ワラを活用しつくす、先人たちから受け継がれてきた知恵も知ることもできます。

 しめ縄づくりの学習を通じて様々な発見をした小学生は、笑顔いっぱいです。

 私たち教育普及担当のスタッフは、その笑顔からエネルギーをもらい、次の学校の出前学習を頑張ることができます。

posted by 運営課 帆足

2020年12月25日金曜日

#みんなでふりかえる福岡市博物館の思い出 エッセー やっしぃさん

 初めて入館したのは、サッカーの試合までの空き時間を安価で潰すためでした。福岡に限らずあちこちの街で暇潰しとして博物館に行きましたが、常設展示のボリュームで福岡……いや博多が古くから栄えた土地だと見せつけられました。


  数年後、某ゲームで収蔵品をモチーフとしたキャラクターに惚れ込み、サッカー観戦や舞台観劇で福岡に飛ぶ回数が増えました。その度に博物館を訪ね、幾度となく常設展示を見ました。


  令和二年十月、昨秋の侍展以来の訪問。「やまいとくらし」展示にて、江戸時代の成田屋が素晴らしい演技から不動明王と同一視され、時には舞台に賽銭が飛んだと説明に書かれていました。千葉県民の私は年が明けると成田山新勝寺に参拝します。そのため、「ふくおかの名宝」展で黒田家にあった不動明王の掛け軸を見た時も、つい心の中で真言を唱えていました。


  成田屋のにらみを眺めて、ふと思いました。時代が変わっても人は祈りを通して何か想いを不動明王に託しているし、疫病のみならず飢えや戦争、天災を何度も先祖が乗り越えたから私は生まれてこられたんだ、と。何度も通り抜けた常設展示室で、鳥肌が立つような心地を味わったのは今回が初めてでした。


  これからも展示を通して何か新しい気づきを得ていければ、と思っています。その場を守って下さる皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。


2020年12月23日水曜日

#みんなでふりかえる福岡市博物館の思い出 エッセー 福岡市早良区 60代男性

 百道浜に住んで10年。自宅から近いせいもあり,博物館の講演会には度々参加させて頂きました。

その中で特に印象深かったのは,「金印贋作説に終止符を打つ」という講演会のなかで貴館の学芸員の新見解,金印の鈕は「蛇鈕」ではなく「駱駝鈕」ではなかったのか?というものです。

それ以降,常設展の入口に展示されている金印をまじまじと観察しては,確かに駱駝の頭部を削り,曲げて座っている足を加工して蛇鈕にしたように見えてきました。福岡市博物館には,これからも新しい発見と感動を期待しています。
 

2020年12月21日月曜日

(Museum Closure Blog) Major Cleanup of the Permanent Exhibition Room

 This blog series, “Museum Closure Blog” introduces special topics regarding the closure, and updated on a semi-regular basis. This time, we’d like to talk about how we clean the exhibition rooms.


The Gold Seal, a national treasure, is the Fukuoka City Museum’s most renowned artifact. The seal is currently on exhibit at the Fukuoka Art Museum until March 28, 2021 due to the Fukuoka City Museum’s closure.


The other day, the Gold Seal section of our permanent exhibition room, was thoroughly cleaned by museum staff. Not only the display case of the gold seal was meticulously cleaned, but also the cases of other relevant articles.

The usual Gold Seal section


The gold Seal section cleanup


All curators specializing in archaeology participated in the cleanup. They removed exhibited articles carefully from their display cases, and wiped everything, from the insides of the cases to the exhibition stands. They even removed dust on the high walls, which are otherwise unreachable in routine cleanups. It was a really time-consuming job, which can be done only when the museum is fully closed.


The collection in the permanent exhibition room includes replicas, but many of them are also genuine. To ensure that the articles are kept in good condition, we sometimes have to change the content of the exhibit, even though we call the room the “permanent” exhibition room. (Even though we use special lighting, which is free from ultraviolet, articles can be damaged if they are exhibited long term.)


For example, we regularly change the display of "The Armor of Lords" of the Fukuoka Clan in the Edo era section. Also, we need to frequently change fragile articles such as pictures and books for they are made of paper. Since the museum will be closed for four long months, we chose to return some articles to the storage room.


On the day of the cleanup of the Gold Seal’s section, a curator specializing in the Edo era, was removing articles inside the display.

Curator removing articles from the display case.


福岡市博休館中通信 展示室の大掃除

休館中の福岡市博物館から、休館中ならではの話題を不定期でお届けします。
今回は、展示室の大掃除についてです。 
前回の休館中通信は、「コクホー金印ちゃん」が家出!!という話題でしたが、金印ちゃんが留守中に、博物館では、博物館では、常設展示室内の金印ちゃんの部屋をピカピカに磨き上げる大掃除をしているのです。

 来年3月末までの予定で休館の間、福岡市博物館の代表的な収蔵品である 国宝 金印「漢委奴国王」は、福岡市美術館で特別展示です(令和3328日まで)。

主が不在の博物館常設展示室の金印のコーナーでは、大掃除が行われました。金印の展示ケースは勿論、金印ケースの奥にある関連する資料を展示しているケースも、資料を全て取り出して、入念に掃除をします。

普段の金印関連展示コーナーの様子。金印をあらゆる角度から観察できる大型モニター、古代中国のさまざまな印章、金印に関する研究の歴史に関する資料などがある。
普段の金印関連展示コーナー

金印関連展示コーナーの大掃除の様子。すべての展示資料をケースから取り出し、普段は手が届かないケースの裏や内側も、学芸員がしっかりと大掃除。
金印関連展示コーナーの大掃除の様子

 考古と古代、江戸時代の担当学芸員が総出で作業。展示資料を丁寧に取り出し、ケースの内側や展示用の台なども全て磨き上げます。開館中の日常的な清掃では、手が届かない壁の高い場所までホコリをとるなど、なかなか手間のかかる大掃除です。こうした大掃除は、休館していないとできない作業です。

 常設展示室で展示している資料の中には、複製品(レプリカ)もありますが、「ホンモノ」も数多くあります。そのため、「常設」とは言いながら、資料保存の観点(博物館では、紫外線カットなど資料に優しい照明を使っていますが、それでも、長期間の展示は、資料には少なからぬダメージを与えてしまいます)から展示替えをしている資料もあります。目立つところでは、江戸時代のコーナーの福岡藩主の甲冑などは、定期的に展示替えをしています。他にも、紙に描かれた絵画や本などの「弱い」資料も展示替えが必要です。今回は4か月にも及ぶ長期休館のため、展示ケースから取り出し、収蔵庫にしまう資料もあります。金印コーナーで大掃除が行われている一方で、江戸時代のコーナーでは、担当の学芸員が、展示ケースのなかの資料を片付けていました。

江戸時代のコーナーの展示ケースから、多色摺りの版画など、紙の資料を1点ずつ片付ける学芸員
江戸時代のコーナーの資料を片付ける学芸員







2020年12月18日金曜日

(Museum Closure Blog) Ms. Gold Seal , National Treasure Part 2 :Run Away from Home

My name is Ms. Gold Seal. I was born 2000 years ago at Rakuyo, the Chinese capital of China. *¹Oh, have I already told you this before?

I work at the Fukuoka City Museum’s Permanent Exhibition Room and the guests often come to see me now and then. *²But there is something wrong lately. Nobody comes to see me. What’s more, the room is always so dark! It’s not fair, don’t you think?

I think the museum’s staff should learn how to treat a lady. (I’m a girl who is around two thousand years old!) I can’t talk to anyone since I don’t have a roommate. I can’t even sleep at night. It reminds me of the hard and lonesome days that I spent on Shikanoshima Island.

Enough is enough! I’ll be out of here! 

*¹ The profile of Ms. Gold Seal is here

*² The Fukuoka City Museum is currently closed for a partial renovation.

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This is the Nishijin area. Nishijin station is the closest subway station to the museum. It’s been a long time since I last went outside. Oh, I feel so cold! *³I’m quite sensitive to coldness!

*³ The thermal conductivity of gold is 319W/m-k.

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This is Ohori Park. A long time ago, this place used to be a cove and it was connected to the ocean!

The cove was later cleverly reformed to be a part of the moat surrounding Fukuoka Castle. For this reason, the park was named “Ohori” which means a big moat park.

It would be great if I could ride a boat in this moat with my future boyfriend.

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This is the Fukuoka Art Museum inside the park. *⁴ I used to work here. It’s been a while! I hope everyone is doing great!

Oh, wait! Since I have a lot of friends at the Fukuoka Art Museum, I think I should stay there for a while. I didn’t think too much about it when I left the Fukuoka City Museum, but I don’t want to end up staying outside. What if it rains? I can’t bear the cold!

I’m sure that my friends will say, “yokayo”(yes) to my request!

I think the staff of the Fukuoka City Museum is in panic right now! After all, I am the icon of the museum. They can’t afford to lose me. But they could never have me back unless sincerely apologized to me.

*⁴ The Gold Seal had been on exhibit at the Fukuoka Art Museum from 1978 to 1990.

2020年12月17日木曜日

琵琶の音色に歴史を感じて

先月、令和2年11月15日(日)、工事休館前の福岡市博物館の講座室で、小さな集まりがありました。

この集まりは、福岡市視覚障害者福祉協会と、市の博物館や文化財関係者が連携して行っている「郷土の歴史を学ぶ」会です。

協会の方たちとともに、福岡の豊かな歴史資源に対する学びを深めることで、視覚に障がいのある人々の「福岡を旅行してみたい」と思う気持ちを盛り上げたり、仕事や社会参画の機会を増やすことができないかな〜、という気持ちで、平成30(2018)年から続けてきた会です。

これまで、

平成30年9月 博物館にて「明治維新から150年 あたらしい日本をめざして奔走した平野国臣」

平成31年1月 博物館にて「江戸時代の武具」

平成31年4月 板付遺跡(博多区板付)の見学会

令和元年11月 埋蔵文化財センター(博多区井相田)と金隈遺跡(博多区金の隈)の見学会

を行ってきました。

令和2年に入ってからは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、しばらく開催を見合わせていましたが、たくさんのウェットティッシュを持ち込むなどして感染対策をはかり、11月15日(日)、琵琶をテーマに集まることになりました。テーマを琵琶としたのは、博物館で催行していた開館30周年記念展「ふくおかの名宝 ー城と人とまちー」、そして、「第32回新収蔵品展 ふくおかの歴史とくらし」の両方に、由緒ある琵琶が展示されていたことにちなんでいます。

さて、この会では「ものに触る」ということにこだわっていますが、今回は、筑前琵琶を再生するプロジェクトを起こしたドリアーノ・スリスさんの大きな協力を得ることができました。

ドリアーノさんはイタリア会館・福岡を主宰するかたわら、40年以上も琵琶の製作・修復に携わっていらっしゃいます。そして、今年の5月、危機に瀕する筑前琵琶の伝統を伝え、楽器づくりや修復の担い手を育成し、筑前琵琶づくりの再興を担う拠点「琵琶館」をたちあげられました。

そして、今回、「郷土の歴史を学ぶ」会の趣旨にご賛同いただき、ご自身のコレクションである盲僧琵琶、筑前琵琶、薩摩琵琶を携え、「琵琶館」で琵琶づくりと修復の学ぶお弟子さんを伴って、会に参画していただくことになったのです。

当日は、博物館市史編さん室の学芸員(近世専攻)の宮野弘樹による「福岡藩の盲僧」のレクチャー、そして、ドリアーノさんと琵琶の関わりのお話のあと、お弟子さんの薩摩琵琶の演奏をみんなで聴かせていただき、最後に、代わる代わる琵琶を触りました。話を聞き、音色を聴き、楽器に触れて形をたしかめ、そして、みんなで語り合うことを通じて、あらためて、この楽器を芯にして紡がれる歴史を体感することができました。

あらためて、ドリアーノ・スリスさんに感謝の意を表したいと思います。

盲僧琵琶をさわる参加者とドリアーノさん

さて、イタリア会館・福岡では、令和2年12月19日(土)まで、「よみがえる琵琶 ドリアーノ・スリス 修復琵琶展」を開催中です。ぜひ、お運びください。

わたしたちは今後も、ユニバーサル都市・福岡にふさわしい「みんなと伝える・みんなに伝わる」ミュージアムをめざし、さまざまな人と連携・交流しながら、地域の歴史を五感で体感するための取組みを続けていきます。

「こんなことをやってみたら」というアイデアがありましたら、ぜひ、お知らせくださいね。


posted by Shanshan



福岡市博休館中通信 コクホー「漢委奴国王」金印ちゃん~家出するの巻~

  私の名前は金印ちゃん。今からだいたい2000年前、中国の都だった洛陽ラクヨー………って自己紹介はこないだしたわね〈註1〉。まあ、いいわ。

 私、いつもは博物館の常設(ジョーセツ)展示室(テンジシツ)っていうところにいるんだけど、最近なぜだか誰も会いに来てくれないの。おまけに部屋は真っ暗。酷いと思わない?〈註2〉

まったく、女の子の扱い心得て欲しいわ(あらうんどつぅーさうざんどの乙女なのよ!)。私って一人部屋だから、話し相手もいないの。怖くて夜も眠れないし、志賀島(シカノシマ)にいた頃の我慢の日々を思い出しちゃうじゃない。

もういいわ。こんなとこ出ていってやるんだから!

 

1 金印ちゃんの自己紹介はこちら

註2 福岡市博物館は現在設備改修のため、休館中。

 

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福岡市営地下鉄の西新駅最寄りの交差点。中央の高いビルが、駅直結の商業施設「プラリバ」で、2003年にリニューアルした。 

 ここは西新(ニシジン)ね。

久しぶりに外に出たけど、寒いわ。私、冷え性なのよ〈註3〉。

 あら、プラバ新しくなってるじゃない。知らなかったわ。

 

註3 金の熱伝導率は319W/m-k

 

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大濠公園(福岡市中央区)の池の様子。貸しボートもある。

 大濠(オーホリ)公園(コーエン)まで来たわね。

2000年前は海に続く入り江だったのよ。

お城を作るときに外堀の一部になったから「大濠(オーホリ)」。なかなかうまいこと作るじゃない。関心するわよね。

いつかあのボートに乗って、素敵な方とデートしてみたいものだわ。

 

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1979年11月開館の福岡市美術館(福岡市中央区)。大規模改修工事を行い、2019年3月にリニューアルオープンした。

ここは福岡市美術館ね。大濠公園の中にあるのよ。

昔、ここで働いていたことがあるの〈註4〉。

みんな元気にしてるかしら。ほんと、なつかしいわ。

 

そうだ、お友達もたくさんいることだし、しばらくここにお邪魔しちゃおうかしら。

勢いで飛び出してきちゃったけど、雨が降ったら大変だし、野宿なんて絶対いやよ(寒いし)。

あの人たちのことだから、きっと「よかよ」って言ってくれるはずね。

 

今頃、博物館はきっと大騒ぎね。だって私って看板娘だから、いなくなったら大変よ。

ちゃんと謝ってくれなきゃ絶対帰らないんだから・・・。

 註4 福岡市博物館開館前、1979年から1990年まで金印は福岡市美術館で展示されていた。

 

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ということで国宝金印「漢委奴国王」は博物館の休館中、2021328日まで福岡市美術館で展示中です。

美術資料に囲まれて、いつもとは違った魅力が引き出されています。

是非、お立ち寄りください。

 

(学芸課 あさおか)

#みんなでふりかえる福岡市博物館の思い出 エッセー 山口県下関市 40代女性

 私の福岡市博物館の思い出は、『特別展 侍』です。某ゲームにハマり、博物館などで刀の現物を見て回るようになった矢先に、近くの福岡市で刀剣の展示があると聞き、しかも滅多に見られない刀剣を見られるというので、喜び勇んで見に行きました。


 実際に展示を見ると、刀剣だけではなく甲冑の来歴や当時の武士の戦い方も知ることができ、もともと歴史好きなこともあり、 歴史の一端に触れることができた喜びを感じました。当初の目的の刀剣についても、「博多藤四郎が小倉の海上(船)で受け渡された」など、知らなかったエピソードを知ることができ、知識が深まったように思いました。

その日に購入した図録をまた見返すこともあり、大変参考にさせていただいています。


 それから好きな声優さんが音声ガイドをされていたこともあり、『挑む浮世絵』も鑑賞させていただきました。浮世絵についてあまり知らなかったのですが、当時人気があった絵の傾向などを知ることができました。

個人的には、猫の絵が多かったのでとても癒されました。
 

2つの特別展で、違う視点での発見がたくさんできたことに、とても感謝しています。どうもありがとうございました。
 

博物館が改修されるとのことで、訪れる機会が少なくなるのが寂しいですが、また素敵な美術品などとの出会いを演出してくださることを切に願っております。

2020年12月11日金曜日

#みんなでふりかえる福岡市博物館の思い出 エッセー 福岡市早良区 40代女性

 私が高校生の時に開館した福岡市博物館

 現在の上皇上皇后陛下がお見えになりました。

 その時に,玄関前で 上皇上皇后陛下を拝見しました。

 テレビと同じだなと思ったこと覚えています。

  当日の朝、 ヘリコプターの音がすごくて 、博物館近くに 住んでいたので 友人に電話をして、一緒にいこうよとお誘いして行きました。

 遠くからでしたが、上皇上皇后陛下はにこやかに手を振っていらっしゃいました。

 どなたかが「天皇陛下万歳」と言いまして、みんなで万歳をしたことを覚えています 。

 懐かしいです。

2020年12月10日木曜日

(Museum Closure Blog) The reason of the museum’s closure

We started this blog series, “Museum Closure Blog” to keep our valued customers updated even during the period of closure. The topics can be about the closure itself and the things that happened during the closure. In our first edition, we would like to answer the question: “Why is the Fukuoka City Museum closed?”


The Fukuoka City Museum is fully closed from November 30, 2020 to March 31, 2021 for partial renovation. The power systems and the toilets will be renovated within 4 months. The building of the Fukuoka City Museum was completed on March 1989 and used as the main pavilion of the Asian Pacific Expo Fukuoka 1989. The building was transformed into a museum after the event, and re-opened as the Fukuoka City Museum on October 1990. After 30 or more years since its establishment, the museum’s building and facilities have deteriorated with age. Although some parts have been revamped into energy saving facilities under the ESCO (Energy Service Company) project in 2002, the main electric system remained unchanged, and is now more than 30 years old.


The museum’s electric system receives high-tension current from electricity providers, and the voltage has been changed to make it adequate for museum use. The most important usage of electricity is to control humidity inside the museum. Humidity control is not only important so that our customers feel comfortable inside the museum, but it also keeps the collection in good condition in the exhibition and storage rooms. Have you ever had your lacquerware damaged by keeping them too dry? The same thing would happen to the museum’s collection if we don’t perform humidity control adequately.


It is very important for us to be extra careful in maintaining an optimum environment for our collection, to preserve them for successive generations. (Lighting can also be damaging to artifacts. To prevent decolorization or deterioration, the lighting in the exhibition rooms should be free from ultraviolet rays and the brightness should also be strictly controlled.). It would be disastrous for our museum if something goes wrong in the air circulation system of the storage rooms and exhibition rooms. It is very important for us to procure a stable electrical supply and to keep the air circulation system running. For this reason, we have emergency power generators to ensure that the electricity will again be running just 40 seconds after the start of a power outage, to restart air conditioning of the storage rooms and exhibition rooms immediately.

Our staff explaining the power receiving and transforming system in Backyard Tour in 2018.

 Our power receiving and transforming system have been running for more than 30 years while having it periodically checked and repaired, but finally, the time has come that we should change it to the new system. However, we should keep the air conditioning system working while the renovation is on-going so that we can keep the collection in a good condition.
To enable this, we should go through the following process:
#1. Install a temporary power receiving and transforming the system.
#2. Start using the temporary system instead of the conventional system.
#3. Remove the old system and install the new system.
#4. Start using the new system and terminate the temporary system.
#5. Remove the Temporary system.
The whole process requires four months, but it is necessary to protect our valuable collection.
We will be reopening next April after the partial renovation.
Although the result of the renovation is still yet to see, the museum’s most essential part has been already renovated by the time you visit us for the next time. We are looking forward to welcoming you at the revived Fukuoka City Museum in April!

2020年12月7日月曜日

福岡市博休館中通信 博物館が休館する理由

        休館中の福岡市博物館から、休館中ならではの話題を不定期でお届けします。
        今回は、「博物館が休館する理由」です。

 福岡市博物館は、2020年11月30日から、2021年年331日(水、予定)まで、工事のため全館休館しています。4か月におよぶ長期休館中に、受変電設備・非常用発電機の更新工事と、トイレの改修工事をします。福岡市博物館の建物は、19893月に「アジア太平洋博覧会─福岡’89」のテーマ館として開館、博覧会閉幕後に改装を行い、改めて199010月に福岡市博物館として開館した施設です。長い期間、使い続けていると、施設や設備も老朽化してきます。平成24年度に導入したESCO事業(エスコじぎょう、Energy Service Company事業の略)により、一部設備を省エネルギー型に更新していますが、おおもとの電気設備は、30年以上使用してきました。今回は、その電気設備=受変電設備・非常用発電機を更新するための長期休館です。併せて、来館者の皆さまからのご要望が多かった、トイレの改修工事も行います。

博物館では、非常に高圧な電気を電気事業者から受け取り、館内で使用するのに適切な電圧に変換しています。電気の用途で一番重要なのが、館内の温湿度管理です。来館者の皆さまに快適に過ごしていただくのは勿論ですが、博物館の場合は、展示室や収蔵庫にある貴重な資料を守るために温湿度管理が非常に重要です。ご家庭で、漆塗りの食器などが、乾燥しすぎて、傷ついてしまうことがありませんか。温湿度管理が適切に行われていないと、博物館が収蔵している資料にも、同様なことが起きてしまうのです。貴重な資料を後世に伝えるため、博物館では、資料を保存する環境に細心の注意を払っています。(資料には、「光」も大敵です。日焼けによる退色や劣化を防ぐため、展示室の照明は紫外線をカットし、明るさも抑えています。)

資料を保管している収蔵庫や展示室の空調に不具合が起きるのは、博物館にとっては、まさに死活問題といえます。空調を支える安定した電気の供給が、非常に重要な理由です。そのため、停電が起きた時には、わずか40秒後には非常用発電機が稼働して、収蔵庫や展示室の空調のための電力を最優先で一定時間、確保できるようになっています。

博物館の電気室で、スタッフが受変電設備について、バックヤードツアー参加者の皆さんに説明している様子(2018年5月撮影)
バックヤードツアーで、受変電設備について説明している様子(2018年)

  さて、30年以上にわたってメンテナンスを繰り返しながら使い続けてきた受変電設備も、さすがにそろそろ限界…ということで、今回、設備を入れ替えることになりました。とはいえ、資料保存のため、空調設備を止めることはできません。①仮設の受変電設備を設置、②使用中の受変電設備から仮設電源設備への切り替え、③現在の設備を撤去して新しい設備を設置、④仮設電源設備から新しい受変電設備への切り替え、⑤仮設電源設備の撤去、という手順を経て、やっと設備の更新が完了です。そのため、4か月という工事期間が必要なのです。

長い休館も、大切な資料を守るため。来年4月に、見えないところが若返って、開館する福岡市博物館を、あたたかく見守っていただければ幸いです。


2020年12月4日金曜日

#みんなでふりかえる福岡市博物館の思い出 エッセー みやびさん

 私は圧切長谷部がきっかけで福岡市博物館に通うようになりましたので、名だたる刀剣や侍の戦い方の変遷を辿る甲冑の数々が集結した2019年の特別展「侍ーもののふの美の系譜ー」はやはり思い出深い展示です。

 事前に行われた見所を解説する講演会に参加したり展示品のキャプション募集企画に応募したりと、侍展が始まる前からとてもワクワクしていました。

会期中はコラボレーションイベントにも何度か足を運び地元の方や来館者の方と交流し、また学芸員の方に直接お話を聞く機会にも恵まれ、理解を深めると共にますます福岡が好きになりました。


 それだけに終了後はお祭りが終わってしまったあとのような寂しさを覚えたほどでした。


 訪れるたびに福岡の新たな魅力を発見できる福岡市博物館。これからも展示を通して福岡の歴史や文化を発信し続けていってくださることを楽しみにしております。

2020年12月2日水曜日

#みんなでふりかえる福岡市博物館の思い出 エッセー くるくるさん


昨年の侍展、私は一生忘れることのできない思い出を作ることができました

 まず、侍展は今思っても「ありえない」位の至宝の数々で、本当に素晴らしかったです。


 熊本城おもてなし武将隊の演武&トークショーの中でも国宝、重要文化財等の割合が、侍展は通常これだけあれば十分といったラインを気づけば大きく上回っていて名品ぞろいだと解説されていましたし、興味深いイベントの数々、見やすい展示の秀逸さ、どれをとってもこれ以上はない位素晴らしかったです。


 中でも、私にとって一生の思い出となったのは、「私のイチおし」大募集の企画でした。
 自分にとってのイチおしのものへの熱い思いを募集するという企画で、私は1通だけ思いを込めて応募したのでした。


 すると、それが採用され、嬉しくて何度も訪れて展示を拝見いたしました。
 いつ来ても大盛況で、自分の作った文章が書かれたキャプションが沢山の方々に見てもらえるというのも、照れるような、誇らしいような気持ちで嬉しかったです。
 また展示の数々は何度見ても素晴らしさに心が洗われるようでずっとこの展示を見ていたいと思えるようでした。


 他の方々のキャプションもとても素晴らしかったです。専門家の解説ではないので、専門的なことを語っているわけではないですが、それぞれに強い思い入れ、熱い思いを感じることの出来る素敵なものでした。


 このような興味深い企画をしてくださった福岡市博物館のスタッフの方々の着眼点、色々な人に興味を持ってもらうための工夫は、より良い展示の為に常に向上心を持ち続ける姿勢の賜物なのだと思いました。


 記念にいただいたキャプションは私の一生の思い出、幸運の象徴、イチおしの刀剣と会期中そばで過ごせた宝物としてずっと家で飾っています。


 一生の思い出に残る素晴らしい展示、企画の数々、本当にありがとうございました!!