2022年6月19日(日)まで開催中の「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」。
展示作業中に担当者が感じたことや、監修の中野智章先生にうかがったお話などから、資料に関するウラ話をご紹介します。
今回ご紹介するのは、コチラ!
No.191 センサオスのミイラ
このミイラ、ほかのミイラとなんか違うと感じませんでしたか?
なんというか・・・太くてゴツイ。
復元された顔は、こんなに美人なのに。
このミイラは1990年代にスキャン調査されています。
その結果、大量の包帯と樹脂が使われ、中に砂が入っていたとのこと!!!
そのせいで、めちゃくちゃ重いんです。
どうしてそういうことに?
監修の中野先生によると、
このミイラがつくられたのは、グレコ・ローマン時代のローマ時代109年。
ミイラ作りの技術は廃れかけており、おそらく見よう見まねでミイラを作ったのではないか、とのこと。
アレクサンドロス大王のエジプト征服、クレオパトラ7世の死に伴うプトレマイオス朝の滅亡後のローマによる支配を経て、古代エジプト文明がそれまで築き上げ、受け継いできたものが失われつつあった時代。
ミイラそのものよりも、ミイラを飾るマスク等の外観の美しさが重視されていたとも言われています。
ミイラづくりという技術の衰退とともに、文明の終焉が見えた気がしました。
(古代エジプト展担当)