2022年6月19日(日)まで開催中の「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」。
展示作業中に、担当者が感じたことや、監修の中野智章先生にうかがったお話などから、資料に関するウラ話をご紹介します。
今回ご紹介するのは、コチラ!
No.148 ホルの外棺
今回の展覧会のメインビジュアルでよく使われているので、
みなさんも一度は目にされているのではないでしょうか?
監修の中野先生から「この棺はここが特徴的なんですよ」と教えていただいた部分を、よーく見ると・・・
あれれ。
死者の書でのメインイベントである、心臓を真実の羽と重さ比べするシーンに、心臓がない!!
そして、足元の、おそらく死者の名前に関連する場所は、一部が空白・・・。
いったい、どういうことでしょう?
前回(「古代エジプト展ウラ話その3」参照)、ちょっと触れたように、
エジプトでは棺にするほどの大木の木材は貴重品でした。
棺を作るにも、めちゃくちゃお金がかかる。
そこで、古代エジプト人は考えた。
「そうだ!この棺、別の人にも使っちゃおう!」
中野先生によると、こういった棺の再利用が行われていたからか、棺が男性を表現していても、中のミイラが女性の場合もあったり、またその逆もあるとのこと。
棺に描かれているのは、死後の世界へ旅立つために必要な「死者の書」。
古代エジプト人にとっては、時に人の棺を借りてまで、とにかく、死後の世界で復活・再生するためにきちんと葬儀を行うことが最重要事項だったのでしょう。
古代エジプト人のたくましさと死後の世界への強い想いを垣間見たような気がしました。
(古代エジプト展担当)
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