2024年7月24日水曜日

特別展「大灯籠絵」を楽しむために その11 お祭り会場の背景にも注目

 

THE ASTONISHING WORLD OF GIANT LANTERN PAINTINGS

会期:2024913日(金)~114日(月・休)  会場:福岡市博物館


この秋、福岡市博物館では、特別展「(おお)(とう)(ろう)()」を開催します。

展覧会の開催に向けて、「大灯籠絵」にまつわる話題をお届けします。

 

お祭りや祝い事のときに、家の入り口に張る長い幕(長さ10メートル以上のものもある)「(まん)(まく)」をご存じですか?

武家が陣営に張った陣幕や、お祝いの際に張る紅白幕も「幔幕」です。

 

博多では、100年くらい前、大正時代頃まで、

(はこ)(ざき)(ぐう)(福岡市東区箱崎一丁目)の秋のお祭り・(ほう)(じょう)()の際に、

お参りがてら家族や町内のひとたちと筥崎宮近くの松原にでかけ、幔幕を張って、

飲食などを楽しむ「まくし」という習慣がありました。

 

幔幕の意匠はいろいろありますが、

博多では、「このデザインはあの町」という意匠があります。

「金魚」「雀踊り」「角力取り」「七福神」などが、その代表格でしょうか。

 

「大灯籠」を飾る町のなかでは、

大浜(福岡市博多区大博町)の「あやめ」の幔幕があります。

▲明治2年(1869)製作

▲明治28年(1895)製作

▲明治32年(1899)製作

いずれも水辺に咲くあやめが画面いっぱいに描かれています。

(いずれも福岡県指定有形民俗文化財)

大浜では、大灯籠を飾る「(おお)(はま)(ながれ)(かん)(じょう)」のときにも、

これらのあやめの幔幕を使ってきました。

 


▲上下とも、2023年8月の大浜流灌頂の様子
明治時代のものを復元した「あやめ」の幔幕が使われています

地域のお祭りに出かけてみると、さまざまなデザインの幔幕を見ることができます。

お祭り会場の「背景」になっていることが多い幔幕ですが、

その「背景」に注目してみると発見があるかもしれません。

(by おーた)


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