2018年7月31日火曜日

現代の浮世絵師、山田全自動氏Meets鈴木春信!コラボフレーム本人レポート!

ある時は、ディープな地域の裏事情を紹介する“Y氏”、またある時は現代の浮世絵師“山田全自動”・・。・様々な顔をもった、マルチタレント!あの山田孝之氏が、福岡市博物館にお越しくださいました☆



自画像(?)よりも大分親しみやすい印象ですね!本日は山田全自動氏としてご来館です。


鈴木春信展ミュージアムショップ横に設置の“記念写真館”では、山田全自動氏のオリジナルフレームにて記念撮影をしていただけます。二種あるうち、おすすめはどちらですか?とお尋ねしたところ、画像のフレームを選択されました。
全自動氏:「鈴木春信の浮世絵風に、隠し文字が忍ばせてあるんですよ。」
さて、どこにあるか、見つけられるかな?


おススメフレームにて早速撮影開始です!うーん、良い笑顔♪とってもさわやかです☆


あれっ?なんかさっきと表情違うような・・?
全自動氏:「うん、良く撮れてますね、これでOKです!」

続けて、もう一方のフレームにも挑戦!
全自動氏:「あれ?これ結構いいですね?こっちの方が良いかも!」


おお!なかなか渋い感じにきまっています!!結局、どちらも良いということか・・。


撮影終了後、ミュージアムショップにて山田全自動コラボグッズの売れ行きをチェックする全自動氏。
全自動氏:「わー!シールが結構売れている♪うれしいなあ。」
グッズのおすすめは、自著の「山田全自動でござる」だそうです。

ちなみに、来館当日は特別イベント!ギャラリートークに御出演頂きました☆お客さんが来るか心配しておられましたが、時間が来ると展示室は入りきれないほどの大賑わい!


見逃してしまった!という方もご心配なく!8月17日(金)18時半から、再度山田全自動氏による特別ギャラリートークが開催されます♪浮世絵の歴史を動かした革新者・鈴木春信と、現代の浮世絵師、山田全自動氏の奇跡のコラボを、是非お見逃しなく!


Posted by 髙村

2018年7月30日月曜日

트와일라잇 뮤지엄 2018

트와일라잇 뮤지엄 2018


드디어 기나긴 장마도 끝났습니다! 모처럼의 여름방학, 즐기고 계신가요? 올해도 여름이 찾아왔는데요, 후쿠오카시박물관에서는 여름방학 기간중인 7 21()부터 8 26()까지의 금, , 일 그리고 8 13, 14, 15일은 오후 8시까지 개관시간을 연장합니다!



트와일라잇 뮤지엄 시간에는 박물관을 저렴하게
    트와일라잇 뮤지엄 시간(오후 5 30분 이후)에는 관람료가 매우 저렴해집니다.
     <보스턴미술관 우키요에 명품전 스즈키 하루노부>는 관람료가 단체요금(200엔 할인)
      국보 금인 등을 전시중인 상설전은 관람료가 무료입니다.

관련 이벤트도 줄지어 개최♪
  
요괴가 출몰한다고 일컬어지는 <백귀야행일>의 봉마각,
8 10() 오후 5시 요괴 나이트 개최!

유령, 요괴로 가장한 어린이 선착순 100명에게 특별 제작한 뱃지를 증정합니다!
대상
귀신으로 가장하여 <유령, 요괴 그림의 세계전>에 입장한 어린이
시간
오후 5~오후 7 30(뱃지 소진시 종료)
장소
2층 특별전시실(관람료 필요)




하마노 유리나Live
민요와 팝을 섞은 독특한 스타일의 연주로 유명한 가수, 하마노 유리나 씨가 특별출연!
요괴 나이트에서만 볼 수 있는 악곡을 준비하였습니다.
출연
하마노 유리나(싱어송라이터) 공식 홈페이지 http://hamanoyurina.com/
시간
오후 6 30~오후 7 30
장소
1층 그랜드홀(무료)




백귀요란 색칠그림
후쿠오카시박물관 오리지널 요괴 색칠그림을 체험할 수 있는 코너를 마련. 누구든지 즐겨보세요!
시간
오후 5~오후 7 30
장소
1층 체험학습실(무료)




그리고… 2층 레스토랑에서도 트와일라잇 뮤지엄 스페셜 메뉴를 제공합니다!

후쿠오카에서는 이곳에서만 맛볼 수 있는 특별한 스파클링 와인을 준비했습니다.




맛있는 안주와 함께 즐겨보세요(글래스 와인과 안주가 1100! 매우 저렴합니다♪)



부디 여름 밤은 후쿠오카시박물관에서 시원하게 즐기시길 바랍니다♪


Twilight Museum 2018

Twilight Museum 2018


The rainy season is finally over! Now, let's enjoy summer learning, exploring and simply having fun at the museum. Yes, you can even spend cool summer nights at the museum!


The Fukuoka City Museum is now open until 8:00pm on these days:
・Fridays, Saturdays, Sundays and public holidays until August 26th (Sun.)
・August 13th, 14th and 15th

What’s more, you can enjoy our permanent and feature exhibition for FREE after 17:30.
And here is another real hot offer:  Get a 200 yen discount on the original ticket price of the “Harunobu from the Museum of Fine Arts, BOSTON”.
(If you are a foreign visitor, you can receive the same discount by presenting your passport or ID.)

There are some more exciting events coming up!

The Gathering of the Yokais at the Fukuoka City Museum!
Enjoy YOKAI Nights starting from 5pm!

Children who dress up as ghosts or supernatural beings and enter the Yurei and Yokai exhibition will get Yokai tin badges! (Limited to the first 100 children)
August 10th 5pm – 7:30pm (Offer good while supplies last)
Special exhibition room B on the second floor. Admission fee applies.



Yurina Hamano live in concert!
Yurina Hamano's unique music featuring both folk and pop songs will surely add a delightful treat to the Yokai Nights!

Yurina Hamano : HP ttp://hamanoyurina.com/
6:30 pm to 7:30 pm
Fukuoka City Museum 1st floor. Admission is free.



Color your own Yokai!
Design and bring home your own Yokai in coloring sheets that we have prepared for you.  Everyone is invited to give their artistic hand a try in making their own Yokai Night souvenir!

5:00pm -7:00pm
Mitaiken Lab 1st floor. Free.



And what better way to cap your night at the museum with a sumptuous dinner at our restaurant on the second floor.
We have prepared a special menu during the Twilight Museum Period!  This comes with a very rare French sparkling wine only made available for this event.



The wine is really a MUST-TRY as this is the ONLY chance for you to experience it.  Enjoy it together with a plate of appetizers for only 1,100 yen.  Surprisingly affordable, right?


So what are you waiting for?  Come and spend cool summer nights at the Fukuoka City Museum!

浄土九州展ブログ 西方に極楽あり その11 シンクロニシティ

シンクロニシティ

今週は東から西に「逆走台風」が来たことですし、ちょっと逆走ぎみのネタをやります。
ある日のこと、学芸課で心を無にしながら図録の原稿を書いていると、誰かが「末吉さん、近所にこんなチラシが貼ってありますぜ?」とスマホの写真を見せてくれました。
覗いてみると、イエス様のモザイク画に「光は東方より」というコピーが入った西南学院大学博物館の展覧会チラシでした。同大学は博物館のすぐ近くにあるミッション系の大学です。

何となくデザインも似ているし、早くも「西方に極楽あり」を掲げる浄土九州展のパクリオマージュが来たか?と学芸課長を含む一部の学芸員たちが無駄に盛り上がっています。
そうするうちに、いつの間にか働き者の広報担当さんが先方に連絡してコラボしようということになって、ホールに例のイエス様とうちの阿弥陀さまのチラシが並べて貼ってあるじゃないですか(笑)。

聖☆おにいさん?

これじゃまるで漫画の「聖☆おにいさん」みたいですよね。
そんなことを思いながらイエス様のチラシをよく見てみると、懐かしい名前を見つけました。

西南学院大学博物館チラシ

10月6日(土)におこなわれるシンポジウムの講師、東北学院大学の鐸木道剛先生です。鐸木先生は以前、僕の母校である岡山大学で教鞭をとっておられたロシアイコンの専門家で、直接の指導教官ではなかったけれど何かとお世話になりました。イコンとは東ローマ・ビザンティン美術の伝統を受け継いだ聖像画のことで、「アイコン」の語源だそうです。

僕も大学では指導教官(お師匠さま)に就いて仏教美術史を学びましたが、同時に鐸木先生のような周囲におられた西洋美術史や美学の先生方の影響も受けることができて、今思えばすごく豊かな知の世界に居たのだな~と思います。

さて、その成果かどうかは分かりませんが、今回の浄土九州展ではこんな作品も展示します。
大分県日田市出身の画家、宇治山哲平(1910~1986)が、自身の菩提寺である大超寺の本堂に奉納した「極楽お浄土」というタイトルの襖絵です。

宇治山哲平「極楽お浄土」

宇治山さんはカラフルな○△□で構成された独特の抽象画で知られていますが、それにしてもこの作品にはどのような意図を込めたのでしょうか。よく見ると中には十字架(?)のようなモチーフも描かれています。

皆さんもぜひ会場に来て、現代美術と浄土教美術のコラボを楽しんでくださいね。

Posted by 末吉(浄土九州展担当学芸員)

2018年7月25日水曜日

うらめしや...7月26日は幽霊の日。福岡市博物館「幽霊・妖怪画の世界」で肝を冷やそう

うらめしや……



明日、7月26日は幽霊の日とか。なんでも、1825年7月26日に『東海道四谷怪談』が初演されたからだそうです。そんな日にぴったりの特別展示「幽霊・妖怪画の世界」が福岡市博物館で開催中。江戸時代から昭和にかけて描かれた福岡市博物館所蔵の幽霊、妖怪の作品を展示しています。

今日は展示にちなんで、本当にあった「ぞくっと」するお話を…

「幽霊・妖怪画の世界」では、たくさんの幽霊の絵を展示していますが、その中の一つに、幽霊の髪の毛がリアルに一本落ちていた?というお話。本当の話ですよ!髪の毛があったのは展示ケースの中。そして展示作業をしていたのは髪が短い男性のみ。どう考えても長い髪の毛が落ちるはずがないのに、なが〜い髪の毛がいっぽんだけ落ちていたのです。この髪の毛はもしかして、絵の幽霊のものでしょうか。。。どの絵に髪の毛が落ちていたのか知りたい方は、こっそり聞きにきてくださいね。

もう一つ。開催中の展示で、ある朝起こったお話を。展示室では、毎日、学芸員が環境のチェックをしています。ある学芸員が一人でチェック中、展示室の奥にある江戸時代の長屋を再現した場所で、突然風が吹いて、「ひゅ〜〜〜」という音がしたとか。チェックをしていた学芸員Tが事務室に戻り、「凝った演出をしているね?」と同僚に話かけると「そんな演出していないよ」との返事が…ひょえ〜

これ以外にも博物館には、ぞくっとするお話がいくつかあります。

平成25年にリニューアルする以前の常設展では、閉館中の誰もいるはずがない時間に、ちいさい女の子が現れて「あ・そ・ぼ」って声をかけてくる姿をみたスタッフが数名いたそう。その女の子、今はどこにいったんでしょうね。またあるスタッフは、朝出勤して誰もいるはずがない事務室で「突然、男性の咳払いがきこえ、壁のポスターが剥がれおち、顔を殴られるくらいの強風が吹いた」こともあったとか。部屋に入るなって言っているのでしょうか?その他にも、収蔵庫に大切に保管しているランプのオルゴールが突然なったとか…

かくいう私も、一人残業中になんだか人の気配を感じたり、壁にかけた鍵が突然落ちたりという経験があります。

どうです?「ぞくっと」しませんか?ただいま丑三つ時、これを書きながら自分も肝が冷えています…

考えてみると博物館には、いろんな人の思いがつまったモノをたくさん収蔵しています。中には、実際に戦国時代に使われ、人を切った刀剣も…「ぞくぞくぞくっと」するような話がいっぱいあっても不思議ではないですよね。

ぜひ福岡市博物館に足を運んで、あなたも「ぞくっと」する体験をしてみてください。暑い夏が一気に冷えること間違いなしです。

Posted by  Iかかりちょー

2018年7月23日月曜日

浄土九州展ブログ 西方に極楽あり その10

鬼を知り、悟りに至る。

展覧会の開催まであと2ヶ月を切りました。この時期になると、担当学芸員は様々な業務に追い立てられ、完全にお尻に火が付いた状態になります。お尻の火が熱すぎて、近頃の暑さなんてまったく気にならいぜ、ヒャッハー。

ほんと、毎日ヤバイあついですよね。さて、その最大の原因は何かというと・・図録(カタログ)の執筆です。カタログ(Catalogue)の語源は「分類する」という意味の古代ギリシャ語「カタロゴス」である、と何かの本で読んだことがあります。しかしそんなCoolなことを言っている場合ではなく、一日も早く写真を集め、作品解説の原稿を書いて入稿しなければなりません。

今回は140件(200点)の作品・資料を展示しますが、そのうち約100件を自分で執筆します。1日10件書けば10日で出来るモン、なんてうそぶいてみても輸送や会場設営の打ち合わせ、様々な事務処理や雑用に追われて1日5件が精いっぱいです。作品解説というのは簡単なようで実は非常にしんどい作業です。先行研究を読み込んだうえで作品を正しく理解せねばならず、例えるなら相撲を一番一番とるような感じでしょうか。

そんなことをしていると「鉄人デザイナー」ことH氏からは、連日のように容赦ない督促のメールや電話が来ます。H氏とはこれまで何度も仕事をしてお互い〝体育会系〟な感じで気心は知れているのですが、今回も絶対試合に勝たせる鬼コーチのように「オラオラ~!」とやられています(アザース!)。たぶん「こんなブログ書いている暇があったら原稿出さんかい」と思っていることでしょうが、どうかご勘弁を。

ところで、鬼といえば今回展示する飯塚市・西光寺の「五趣生死輪図(ごしゅしょうじりんず)」を紹介しておきましょう。

西光寺 五諏生死輪図
「無明」の鬼

仏教で説かれる「輪廻(りんね)」をあらわした江戸時代の仏画ですが、その中に「無明(むみょう)」(無知)という人間の苦悩の根源を象徴する鬼が描かれています。金棒を持つポーズがなかなかきまっていますが、この鬼はすべての人の中にいて、それを知ることが苦悩の世界を脱する第一歩だということを教えているのだそうです。

鬼を知り、悟りに至る。図録もまたしかり。

Posted by 末吉(浄土九州展担当学芸員)

2018年7月17日火曜日

浄土九州展ブログ 西方に極楽あり その9

この仏像、何年?

「この仏像は鎌倉時代に制作された可能性が高いと思いますが、後の時代の修理も入っているので・・」

仏像学芸員はお寺などで調査をさせてもらうと、相手に何がしかの結果を伝えねばなりません。しかし、住職は「はあ、そうですか・・」と狐につままれたような表情で頷き、「以前、○△先生は平安時代とおっしゃいましたがね?」と、半信半疑の眼差しを向けてこられます。そこで、今回は仏像の制作年代をどのようにして見分けるのか?という問題を取り上げましょう。

ご存知かもしれませんが、仏像には特定の時代や地域、仏師集団などに共通する「様式」があります。例えば平安時代には平安時代の、鎌倉時代には鎌倉時代の様式があって、同じ「阿弥陀如来坐像」でも体の厚みや衣のシワ(衣文=えもん)のあらわし方、構造や技法などもかなり異なります。自動車などの乗り物や私たちが身に付ける衣服のデザインと同じですね。要は各時代の典型的な仏像を数多く頭に入れておけば、それが時代を計るモノサシになるということです。

ただ、仏像の中には過去の様式をわざと取り入れたものや後世の修理による改造、あるいは九州という地域性を考慮すべきものもあって、なかなか一筋縄ではいかないのも事実。
以下は「佐賀の番長」ことT氏と佐賀県多久市・専称寺の阿弥陀如来坐像を調査したときのやりとりです。

同 左側面
専称寺阿弥陀如来坐像(正面)



同 背面
末吉「ほら、構造が内刳(うちぐ)りのない一木造(いちぼくづくり)で翻波式(ほんぱしき)の衣文に渦巻文が刻まれている。耳朶不貫(じだふかん=耳たぶに孔が開いてないこと)だし、頭も六波羅蜜寺の薬師みたいに肉髻(にくけい)と地髪部の段差が少ない。10世紀後半でどう?」

T氏「ん~。まあそうかもしれんばってん、渦巻文とかは図像を写したら時代が下ってもできるとよ。それに全体にボリュームが少なかけん、11世紀前半じゃなかと?」

こんな〝攻防〟を持てる限りの知識と経験、観察力を駆使しながら、それはしつこく重ねて制作年代を突き詰めていきます。そしてこんな会話も・・

T氏「1015年。」
末吉「985年。」


もちろん、様式だけで何年と断定できるはずがなく、制作年代だけが作品理解のすべてでもありません。これは良くも悪くも、熊本の大先輩O倉さんの「はっきり物を言わんといかんバイ!」という指導の賜物でしょう。

でも、もし仏像に耳と心があったとすれば「惜しい!」と呟いているかもしれませんね。

Posted by 末吉(浄土九州展担当学芸員)

2018年7月10日火曜日

浄土九州展ブログ 西方に極楽あり その8

「仏像学芸員」に必要なもの 
学芸員に求められる能力とは何か?このような質問があったとすると、様々な答えが思い浮かびます。
専門分野の知識や論文などを書く力はもちろん、作品・資料に対する探究心や好奇心、展覧会を企画する際に必要になる体力、根気、交渉力、計画性、経営センスなどなど・・こうした資質というべき能力はとても大切ですが、実際の現場では作品・資料の取り扱いや輸送、展示ディスプレイ、保存や修覆に関するいろんな知識や技能も必要です。

撮影中の仏像学芸員

なかでも、仏像(特に地方の)を専門にする学芸員に限れば、体力と自動車の運転と写真撮影の技術はかなり重要度が高くなるように思います。その理由は・・
一、仏像は大きくて重い場合がある。
二、仏像は山奥の辺鄙な場所にあることも多い。
三、立体物だから正面だけでなく各部の造形がわかるきっちりした写真が必要。
今回の浄土九州展でも昨日は佐賀、今日は熊本というように、福岡市役所マークのついた庁用車アルト号にカメラ機材を積んでずいぶん走りまわりました。

庁用車アルト号

調査ではまず仏像を仏壇から降ろして積もり積もった埃を刷毛で払い、各部の計測をおこない、形状や構造を記録し、そしてバックペーパーの上に仏像を置いて前後左右、像底と写真を撮っていきます。大きさや作品としての重要性にもよりますが、一体の仏像を調査するのに半日かかることもあります。

仏像の下からヤモリが出てきたり、台座の中からネズミのミイラが出てきたりしても一切動ぜず、汗と埃にまみれ、時には寒さに震えながら仏像の観察に集中します。そんなことをして何が楽しいのか?と思われる方もおられるでしょう。

でも、凄い仏像や重要な銘文などを発見したときの喜びは格別です。例えるなら、チョコボールの金のエンゼルマークが当たった(おもちゃの缶詰がもらえる)気分とでも言えばわかるでしょうか(わかりませんよね)。

最後に僕が尊敬する熊本の大先輩O倉さんの名言を紹介します。
「学芸員は車の運転と写真ができれば十分バイ。」
O倉△!(O倉さんカッケー)

Posted by: 末吉(浄土九州展担当学芸員)

2018年7月6日金曜日

大雨の影響により、福岡市博物館は明日7月7日(土曜)臨時休館します



明日7月7日は「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」の開幕日ですが、大雨の影響により臨時休館いたします。

どうぞよろしくお願いします。

現時点では、福岡市博物館は7月7日(土曜)開館予定です

大雨が続いていますが、今のところ、明日7月7日は通常開館を予定しています。(明日7月7日は「ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信」の開幕日です)

ただし、今後の天候や災害状況次第では、臨時休館をする場合があります。その際は、福岡市博物館ブログ、公式ツイッター@fukuokaC_museum、公式facebookページでお知らせを行います。

どうぞよろしくお願いします。

2018年7月4日水曜日

浄土九州展ブログ 西方に極楽あり その7

涙が出た話 

去年の秋も深まったころ、福岡県八女市の荘厳寺(しょうごんじ)で、ある仏画を調査しました。


中央に立つ阿弥陀如来と蓮台(れんだい)を捧げ持つ観音菩薩、合掌する勢至(せいし)菩薩の三尊を描いた阿弥陀三尊来迎図(あみださんぞんらいごうず)です。こうした来迎図は中世に数多く制作され、臨終を迎える人の枕元に掛けられたと言われています。

まったく未調査の作品でしたが開けてびっくり、非常に細やかな截金(きりかね=細く切った金箔を貼り付けて文様にする技法)が施された、九州ではまれに見る本格的な作品でした。


一緒に調査した仏画が専門の筑紫女学園大学のK准教授と、「これ、鎌倉時代だよね!?」と感激しながら、この日初めて実戦に投入した愛機ペンタックス645Zで撮影をおこないました。

実は問題はここから。
夜、一人でその写真をパソコンの画面で拡大し、細部の表現を確認していたときのこと。
あれ?なぜか不意に涙がポロポロ出てくるではありませんか。これまで作品を調査してそんなことはなかったし、個人的にも最近悲しいことがあったわけでもありません。

いい年の男が夜中に一人涙を流している姿なんてとても人に見せられませんが、その後何となく心がスッキリとして穏やかな気持ちになりました。これがいわゆるカタルシスというやつでしょうか。

人の常として、この世に生まれたときは母や父が喜んで迎えてくれたけれど、死ぬときは一人ぼっちでどこか知らないところへ旅立たねばならない―、このように考えると誰でも不安になりますよね。善美を尽くして制作された仏画や仏像、中でも人生の最後に目にする来迎図には、ひょっとするとそんな人間の持つ根源的な不安や寂しさに応える作用があるのかもしれません。

あなたの命は、たとえどんなに罪をおかして汚れていても、それでも観音菩薩が捧げる金の蓮台に乗ることができる、勢至菩薩の合掌敬礼(きょうらい)を受ける価値がある・・
阿弥陀来迎図とは、そんな人の命に対する絶対的な肯定を形にしたものだとしみじみ感じました。
浄土九州展ではこの作品のほか10点余りの来迎図を公開します。

仏教美術に興味があってもなくても、ぜひ作品の前に立ち本物の凄みを体験してみてください。

Posted by: 末吉(浄土九州展担当学芸員)