2017年8月21日月曜日

学芸課長のつぶやき1「いよいよ・・・」

いよいよ「よみがえれ!鴻臚館」展が始まります!

福岡市博物館では、毎年秋、福岡の歴史をモチーフとした特別展(福岡市博物館が自主的に企画する展覧会なので「自主企画展」とよびます)を実施します。
今年の秋は、「よみがえれ!鴻臚館」展。

鴻臚館って何?と思われたあなた、福岡の人ではないですね?

鴻臚館→「こうろかん」と読みます。

昭和62年に、かつての西鉄ライオンズの本拠地である平和台球場の改修工事に伴って発見され、当時新聞の1面を連日にぎわせた大遺跡。とはいえ、それも30年前のことで、詳しく覚えているのは、50代以上か・・・(実は私も50代)。

(写真は、30年前の記念すべき発掘調査(平和台球場スタンド))


鴻臚館とは、奈良・平安時代にあった日本政府の迎賓館(のようなもの)で、発掘調査では、奈良の正倉院にあるようなものが次々と見つかりました(とは言っても、いずれも破片ですが)。

今回の展覧会は、30年間の発掘調査で出土した貴重な出土遺物とともに、京都や東京から、平安時代をしのばせる美術品もお借りして展示します。
その詳細な内容はおいおい紹介するとして・・・
そもそも展覧会の企画はどのようにして決まるのでしょうか。

福岡市博物館では、おおむね2年前からスタートします。

福岡市博物館には、歴史学・考古学・民俗学・古美術学を担当する学芸員がおりますが、学芸員たちが9月に会議をやって、「2年後の展覧会は何にしよう?」と話し合います。

「福岡城をテーマにしよう」「邪馬台国はどうだ」「九州の仏教美術がふさわしい」など喧々諤々。殴り合いをすることもなく、話し合いの結果、みんなが譲り合って、展覧会の内容が決まります。だって、展覧会の担当者になると、どっと仕事が増えちゃうじゃん・・・

平成27年の会議で決まったテーマは「鴻臚館」。名乗り出た勇気ある学芸員は、30代の考古学担当。ちょうど平成29年が発掘開始30年であるため、とりあえずつけたタイトルが
「唐物と鴻臚館 ~鴻臚館跡発掘30周年記念特別展~(仮)」。ちょっと今と違いますね。

展覧会の概要が決まると、すぐに「調べもの」が始まります。福岡市博物館の特別展示室は1,500㎡!地方館ではまれにみる広さで、国立博物館並み(九州国立博物館も1,500㎡)。
(写真は、広い展示室の様子。これでもまだ一部です。)

この広さを展示物で埋めつくすのは、少々の点数では埋まりません。平成27年度は来る日も来る日も、関係書籍を繰り、コピーをし、台帳を増やし続ける毎日です。こうして27年度は暮れていきます。


次回は、前年度のはなし。

posted by.米倉

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