こんにちは、博物館総館長の中野です。前回の総館長歴史講座「楽史の集い」は「ネタばれ大河ドラマ 豊臣秀長について」と題して、1月23日に実施しました。折から特別展「ディズニー・アニメーション・イマーシブ・エクスペリエンス」の開催中で、2階のミュージアム・モールは入場待ちのお客様が周回するほどの、まさに長蛇の列でした。講座をやる喫茶・談話室は、一転閑古鳥が鳴いているかと思いきや、なんとこちらも70人超えの大盛況で、参加者数の新記録達成ということになりました。さすがにNHKの大河ドラマ人気は大したものです。ありがとうございました。
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| 講座の様子 |
講座では、豊臣秀吉・秀長兄弟が歴史の表舞台に登場する前の、いわば「有史以前」をとりあげました。歴史学の立場からすると、「この時期の豊臣兄弟については何も分かりません」ということになります。秀吉は自身の権威に見合った出生のストーリーを新たに描こうとして、殊更に父親の存在を打ち消そうとしていたようにも思えます。確実な史料もないなかで、闇雲に進んでいけば道に迷うだけのような気がしています。とはいえ、だからというべきかもしれませんが、ドラマでは二人の前半生がとても面白く描かれているようです。
大学に象徴されるアカデミックの世界は、このような歴史ドラマとの間に距離をおいていた頃もありましたが、最近はどうでしょう。ある調査での「歴史に興味をもったきっかけは?」との問いに、実写ドラマや映画などという回答が最も多かったそうです。米国における「SHOGUN 将軍」の大成功などを考えると、こうした傾向はさらに高まっていくものと想像されます。もはや「いい加減なつくり話」といったレッテルを貼って、孤高を気取っているような時代ではないのです。
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| 講座の様子 |
大河ドラマの例をあげるまでもなく、「歴史」や「文化」は、実は市民生活の身近にあるものなのです。私見にはなりますが、博物館も一緒になって歴史ドラマを楽しんでいいのではないでしょうか。すこし難しい表現になりますが、こういう姿勢を歴史実践(do history)と言います。今回のタイトルです。前回の講座は「有史以前」を取り上げましたが、大河ドラマの進行にあわせて、引き続き(断続的に)豊臣兄弟をテーマとして取り上げていこうと思っています。よろしくおつきあいください。
さて、次回はすこし視点を変えて「おなまえ」の歴史に迫っていきます。講座でも触れましたが、最近は「豊臣秀吉」ではなく「羽柴秀吉」というのが正しいという説も唱えられています。「豊臣」は氏(うじ)ないし姓(かばね)で、「羽柴」は苗字(名字)です。現在では苗字(名字)も氏も姓も同じものを指しますが、歴史的にみるとこれらは全然別のものになります。ここが整理できないと、「豊臣秀吉」と「羽柴秀吉」の違いもわかりません。次回は、こんなところから、身近な「歴史」に迫ってみたいと考えています。乞うご期待!!


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