福岡市博物館では、2026年2月21日(土)から4月12日(日)まで、特別展「魔法の歴史スコープ~見つめてみよう福岡の今~」を開催します。「人と環境の関わりの歴史」に焦点をあわせて、「今」そして「未来」を考える展覧会です。
このブログでは、展覧会を楽しむためのアレコレを紹介したいと思います。
福岡市博物館の常設展示室 縄文時代の資料がならぶケースのなかに土器に山盛りになったドングリがあります。
実はコレ、4000年前のドングリなのです。福岡市南区野多目の遺跡で発掘されました。水漬けになっていたために、奇跡的に4000年前の形を保った状態で見つかったのです。
ところで、福岡に人がくらし始めたのは、3万年以上前のことです。その頃は、地球全体が寒冷な氷期で、平均気温は今より7℃ほど低かったようです。人びとは獲物を追って移動するくらしをしていました。
1万5000年くらい前になると、氷期は終わり温暖化がはじまります。このあと1万年以上つづく縄文時代のはじまりです。温暖化によって海面が上昇し、対馬海峡は広くなり、日本海側には南から暖流が流れ込むようになりました。変化は、植生にもおよび、西日本では常緑広葉樹の森が広がりました。
そこで、ドングリです。ドングリは、ブナ科の木の実の総称です。多くのドングリは、アク抜きをしないと食べられないのですが、イチイガシのドングリはアク抜き不要!!食料に適したスグレモノです。先程の4000年前のドングリは、まさにこのイチイガシの実なのです。
イチイガシは常緑の高木。伐採して材木として使いたくなるところですが、大事な食料になる実をつける木を簡単に切り倒すわけにはいきません。縄文時代の人びとは、毎年たくさんのドングリがなるイチイガシの木を大切しながらくらしていました。
ところが、ドングリよりステキな食料が手に入るようになると、状況は一変。縄文時代の終わりごろに稲作が伝来すると、人びとはドングリよりコメを好んで食べるようになります。コメを作るためには、農具が必要になります。その農具の材料として適していたのが、イチイガシなどの堅くて丈夫な木でした。
それまで大事にしてきた木を伐採して農具をつくり、せっせとコメ作りを始めたのです。そして、弥生時代の初め頃には、福岡平野のドングリの木は伐りつくされてしまったようなのです。
このドングリの話は、縄文時代から弥生時代の福岡で、人びとの営みが、環境の変化につながった一例です。
特別展「魔法の歴史スコープ」では、「人と環境の関わりの歴史」を紹介します。
(byおーた)


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