THE ASTONISHING WORLD OF GIANT LANTERN
PAINTINGS
会期:2024年9月13日(金)~11月4日(月・休) 会場:福岡市博物館
この秋、福岡市博物館では、特別展「大灯籠絵」を開催します。
展覧会の開催に向けて、「大灯籠絵」にまつわる話題をお届けします。
7月23日・24日の「箱崎人形飾り」の日が近づいてきました。
この日は、網屋天満宮(福岡市東区箱崎2丁目)境内に、
箱庭にしたてられた「人形飾り」と大灯籠が飾られます。
これは、お地蔵さまの縁日に行われる行事で、
お地蔵さまは、子どもを守ってくれる仏さまだとされるため、
行事の主役は子どもたちです。
このような地蔵信仰に由来する夏祭りは「地蔵盆」と呼ばれます。
箱崎の人形飾りについては、
中世の戦乱で亡くなった人たちの弔いとしてはじまった、
海で遭難した人たちの霊を供養するためにはじまった、
などさまざまな由来が伝えられていています(古田鷹治「箱崎の人形飾り」(『西日本文化』191号所収))。
どうやら、「箱崎人形飾り」は、箱庭をつくる夏の風習と死者の霊をまつる行事が結びついたもののようです。
ちなみに「箱庭」は夏の季語だそうです。
網屋天満宮の境内に飾られた「人形飾り」(2023年撮影) |
福岡市博物館の常設展示室で再現展示している「箱崎人形飾り」 中央、赤い鳥居の奥におかれているのが「お地蔵さまの石」 |
子どもたちは、お地蔵さまの石と人形が飾られた箱庭に線香をあげてお参りしながら、
大人たちからお菓子をもらい、夏の夜を楽しみます。
箱崎の民家に飾られた「人形飾り」にお参り(2023年撮影) |
ところで、これまで、このブログでは夏祭りで飾られる大きな灯りを「大灯籠」、
そこに描かれた絵を「大灯籠絵」と呼んできました。
でも、実は、この大きな灯りには決まった名前はありません。
地域や世代によって、呼び方はさまざまなのです。
現在、箱崎では、「大絵灯籠」と呼ぶことが多いようです。
箱崎では、以前は、毎年7月15日の豊漁や海上安全を願う漁師さんたちの夏祭りで、
道路に道幅いっぱいに大灯籠が飾られていたそうです(山﨑泰輔『箱崎漁協の想い出』)。
自動車の交通量が多くなり、道路に大灯籠を飾ることが難しくなったため、
灯籠の奉納は途絶えましたが、
2002年から、「人形飾り」の日に網屋天満宮の境内に「大絵灯籠」が飾られるようになり、
現在にいたっています。
網屋天満宮の境内に「大絵灯籠」が飾られている様子(2023年撮影) |
今年(2024年)の「箱崎人形飾り」では「大絵灯籠」は飾らない予定だそうです。
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