こんにちは。市史編さん室です。
3月に発行した『新修 福岡市史ブックレット・シリーズ④ 縄文時代のタネとムシ』。おかげさまで発売以来、ご好評をいただいております!
| 一般書店でも好評発売中です! |
そして何とこのたび、本書の著者である小畑弘己先生(熊本大学名誉教授/福岡市史編集委員会考古専門部会専門委員)と、巷では「昆虫DJ」として知られるラジオパーソナリティの大田こぞうさん(FBS福岡放送で放送中の「地域検証バラエティ 福岡くん。」のナレーションでもおなじみ)との特別対談が実現しました!
![]() |
| 小畑先生と大田こぞうさん。 小畑先生は調査帰りで日焼けが眩しい…。 |
舞台は、Love FMで毎週月~木の21:30~23:00まで放送中の「月下虫音」。
この番組はタイトルからも分かるとおり、パーソナリティの大田こぞうさんによる身近なムシや動物、自然、そして日々の暮らしの話題を中心としたトークとステキな音楽で構成されており、そのためリスナーさんも生き物好きが多く、なかなかにムシ知識も豊富…。
\そんな番組に『縄文時代のタネとムシ』がハマらないわけがないっ!/
※ちょっと言い過ぎたかも…。
というわけで8月某日、さっそく収録に臨みました。
当日はわたしも同行して、収録中は光栄なことに放送作家ポジションでお二人の「縄文&ムシ談義」を間近で浴びさせていただきました(何もしてないのですが…)。
こぞうさん(と呼ばせていただきます!)には事前に本書をお渡ししていたのですが、当日ご本人が持参された本にはなんとふせんがびっしり…!
それはこの後の対談でも明らかになるのですが、かなり細かく丁寧に本書を読み込んでくださっていたようで、それだけでも編集担当としては感無量のひとときでした。
とっても気さくだけど専門家への特大リスペクトは忘れないこぞうさんと、いつでもフランクな小畑先生。初対面ながらお二人の話は打ち合わせから大変盛り上がりました。
![]() |
| よく見ると大量のふせんが!! (「後で撮らせてもらおう」と撮影を忘れた痛恨のミス) |
ギャートルズの世界ってホントにあったの??
こうしてさっそくスタートした対談ですが、実はこれまで考古学にはあまり馴染みがなかったというこぞうさん。「思いつくのは『はじめ人間ギャートルズ』のような世界!」ということで、まずは縄文時代より前の旧石器時代のお話から始まりました。そもそも小畑先生はかつては旧石器時代を中心に石器を研究されていたため、いわばそんな「ギャートルズ的な時代」にはお詳しいのです。
旧石器時代といえば、人々は移動しながらギャートルズのゴンたちのようにマンモスのような大型動物を追いかける狩猟生活。
時代が少し下ると木組みに帆をかけたテントのような住居に住むようになるのですが、こうしたいわばキャンプ生活をしながら、できるだけ財産は持たず、軽量で最小限度の生活道具とともに移動する遊動生活を送っていました。
ただし、彼らはその日暮らしのようにただ気ままに暮らしていたわけではなく、ちゃんと季節性や動物の行動を理解していたといいます。
動物の行動に合わせて移動し、時期によって適切なキャンプ地を定め、それらを周遊する生活を送っていたようです。
![]() |
(イメージ画像/UnsplashのMeressa Chartrandが撮影) |
遊動から定住へ
そんな彼らにも転機が訪れます。気候や環境の変動です。
大型動物が減少し、草原は森へと変化しました。先生曰く、森は非常に生産性が高くコンパクトにまとまった「資源のプール」のような存在だったのだとか。
そうなると、これまでのように資源量が薄い地域を転々として獲物を追いかける生活ではなく(しかも獲物も減っている…)、資源量豊富な森の近くにいれば小動物も寄ってくるし木の実も採れる。食べるのには困らない。
こうして森に依存した定住生活が始まります。
彼らが移動生活をやめたのは、「そろそろキャンプ生活も飽きちゃったな~」といった動機からではなく、こうした環境の変化に合わせてそれまでの遊動生活をやめ、新たな生活スタイルを選んだという、まさに「定住革命」が起こったというのです。
※「定住革命」とは、生態人類学者の西田正規氏、考古学者の加藤晋平氏らが提唱した概念で、人類史の画期的な転換点とされています。(参考:西田・加藤共著『森を追われたサルたち―人類史の試み』〈1986年、同成社〉、西田正規『定住革命ー遊動と定住の人類史』〈1986年、新曜社/絶版〉、西田正規『人類史のなかの定住革命』〈2007年、講談社学術文庫〉など)
![]() |
| キャンプ生活もたまにはいいですよね。 |
こうして始まった定住生活ですが、この新たな生活スタイルが人々に何をもたらしたのか…。
と、第1回はここまで!
なんと4回の構成のうち1回目はまだ縄文時代に到達せず…そしてムシも出てこない…!
収録で一度聞いていた話のはずなのに、あらためてお二人の話にすっかり引き込まれていたところ、コーナーの終わりにかかった曲は「やつらの足音のバラード」…。
そう、お若い方はご存じないかもしれませんが、アニメ『はじめ人間ギャートルズ』のエンディング曲です。
いつもはどことなく切なく響くこの曲が、今日のお話を聞いたことでより深く心に沁みわたり、太古のキャンプ生活にそっと想いを馳せた夜となりました(まだ本題は始まっていませんが…)。
* * * * * * *
さて、次回はいよいよ縄文時代のお話、そしてついにムシたちが登場します。
第2回の放送もどうぞお楽しみに!
9月3日(木)の放送は、radikoでも1週間以内であればタイムフリーで聞くことができます。
すでに聞いてくださった方も聞き逃した方も、ぜひ来週の第2回に備えて聞いてみてくださいね!
月下虫音 (げっかちゅうね) | LOVE FM | 2026/09/03/木 21:30-23:00
radikoタイムフリーはコチラから聞くことができます。
はじめに
第1章 狩猟と遊動の旧石器時代1-1 旧石器時代のくらしと家
項目情報
旧石器時代とは/旧石器時代の環境/世界の旧石器時代のイエ/旧石器時代の囲炉裏はどこ?/石器ブロックは男性が残したのか?項目情報
道具を進化させた旧石器人/福岡市最古の旧石器/朝鮮半島から来た石器/今山で採集された角錐状石器/最初の組み合わせ槍/遊動生活に最適な石器・細石刃/究極の組み合わせ道具・植刃器/週游生活と石材原産地の「埋め込み戦略」/北部九州の旧石器時代遺跡と生活圏/移動生活の必須アイテム・水筒/狩猟場に残された狩猟具/解説コラム① 姶良Tn火山灰の降灰/解説コラム② 繊維と結びの歴史
Column 1 「害虫」が語る衣服の歴史と人類の拡散
Column 2 楽器を奏でた旧石器人
Column 3 考古学の真実とは~発掘者の心得~
2-1 縄文人のくらし
項目情報
縄文人の一生/骨に残る縄文人の病理と生活習慣/墓地の発生/縄文人の利き手/イヌと仲良し縄文人/土偶と祈り/解説コラム① ひっつきむしと縄文人項目情報
平底土器と尖底土器/土器発明の意義/多様な生活材、籠・網・衣類/土器が教える縄文の布と衣/縄文時代の網/福岡市内の編組製品/縄文時代と旧石器時代の道具立ての違いとその意味/罠猟の発達/解説コラム② 見よう見まねの大切さ/解説コラム③ 年代を知る~放射性炭素年代IntCal20~項目情報
定住という生活スタイル/遊動生活から定住生活への動機の変化(定住革命)/縄文時代の家比べ/屋外の調理施設項目情報
縄文時代のトイレはどこ?/貝塚から出た食べものとゴミ/ゴミ処理問題の発生と森林への負荷/解説コラム① 縄文時代の環境変化①~縄文海進~項目情報
ヒトが動く→モノが動く/交易による資源調達システムの確立/石斧の生産と交易/縄文人のアクセサリー/クロム白雲母と九州ブランドの拡散項目情報
韓国最古の穀物発見/対馬越高遺跡の発掘調査/アカホヤを遡らない隆器文土器/石器石材とクジラ漁/解説コラム② 縄文時代の環境変化②~鬼界カルデラの噴火~項目情報
コクゾウムシの意味するもの/コクゾウムシの起源と害虫化/ムギ害虫とイネ害虫(コクゾウムシの拡散)/イネを食べなかった縄文コクゾウムシ/海峡を越えたコクゾウムシ(食料運搬)/中国初の新石器時代コクゾウムシの発見/解説コラム① 土器圧痕と土器圧痕法項目情報
土器に練り込まれたコクゾウムシ/冷蔵庫と食器棚の中身―コクゾウムシの居場所―/土器はおうちの中で作られた/土器作りと混和材/土器作りともう一つの混和材/土器圧痕として発見されるタネやムシの特性/解説コラム② 「雑草」を食べた縄文人/解説コラム③ 大原D遺跡は「80%コクゾウムシ」?項目情報
「ガイチュウ」って何?/縄文時代の防虫剤?/縄文時代の害虫たち/縄文人の家に侵入したゴキブリ/ネズミだらけだった縄文ハウスColumn 2 ムシ食はあったのか?
項目情報
四箇遺跡の栽培植物の謎/縄文時代の栽培植物/イネ・ヒエ・オオムギは別時代のもの/解説コラム① ダイズとアズキの見分け方項目情報
考古学の「栽培化」と新たな理論/「縄文農耕論」とは?/縄文時代の真の栽培植物とは?/アク抜きか中長期貯蔵か/福岡市内にも縄文晩期の雑穀農耕はあったのか?/樹木を育てた縄文人/植物性資源利用の増大/南九州縄文にヒエ栽培はあったのか/定住化と濃厚開始による人口増加のメカニズム/解説コラム② AIは遺跡出土のタネを同定できるかColumn 2 土器にタネをまいた縄文人
項目情報
時代区分の基準とは/土器圧痕を用いた新たな手法/稲作の始まり=弥生時代の始まりではない?項目情報
土器圧痕のタネとムシからみえてきたもの/新たな縄文時代・縄文人Column 1 X線が見つけた大発見~日本最古の貝殻入り土器~
おわりに



