埋め立て地にできたニュータウン「シーサイドももち」の、前史から現代までをマニアックに深掘りした『シーサイドももち―海水浴と博覧会が開いた福岡市の未来―』(発行:福岡市/販売:梓書院)。
この本は、博多・天神とは違う歴史をたどってきた「シーサイドももち」を見ることで福岡が見えてくるという、これまでにない一冊です。
本についてはコチラ。
この連載では「別冊 シーサイドももち」と題して、本には載らなかった蔵出し記事やこぼれ話などを紹介しています。ぜひ本とあわせてお楽しみいただければ、うれしいです。
過去の記事はコチラ。
第1回(「よかトピアに男闘呼組がやってきた!」)
第2回(「ダンスフロアでボンダンス」)
第3回(「よかトピアの「パオパオ・ロック」とは。」)
第4回(「開局! よかトピアFM(その1)KBC岸川均さんが育てた音のパビリオン」)
第5回(「思い出のマッスル夏の陣 in 百道」)
第6回(「最も危険な〝遊具〟」)
第7回(「開局! よかトピアFM(その2)1週間の全番組とパーソナリティー」)
※ 2023.4.28 一部タイトルを変更しました。
〈008〉ビルの谷間のアート空間へようこそ
シーサイドももち地区は、たくさんのパブリックアートがあるエリアです。
大きなビルやマンション群の合間をぬって歩くと、さまざまなアート作品と出会うことができます。
中でも福岡タワー行きのバスに乗ると見かける大きなピンクのバルーンアートのようなピンクの犬や、福岡PayPayドーム前の地行中央公園広場にあるカラフルな鳥は有名です。
突如としてまちの中に現れるこれらのアート作品は、日常をちょっとだけ楽しくしてくれます。
photo by 加藤淳史 ババーン!! 風で動くという話ですがまだ見たことはない、 ニキ・ド・サンファル「大きな愛の鳥」。 |
そんなシーサイドももちの中でも、とくにアートが集まっているスペースがあることは、意外と知られていません。
今回はたくさんあるシーサイドももちのパブリックアートから、シーサイドももちセンターステージにある「エアロギャラリー “デューン”」をご紹介します。
コチラからもご覧いただけます。→ Googleマップ
ここにはUR都市機構の「シーサイドももちセンターステージ」の2階部分に当たります。
バス通りの西日本シティ銀行とMタワーの間から、階段をのぼって福岡市博物館側へ通り抜けることができます。
今回は、最寄りのバス停「博物館北口」(西向き)から博物館に向かって歩いてみようと思います。
こんな感じで歩いてみます。 赤くなっているエリアが「エアロギャラリー”デューン”」。 |
「博物館北口」バス停から振り返ると、いきなりピンクの犬がお出迎えです。
photo by 加藤淳史 こーんにーちはーー! |
こちらの作品はその名も「poodle」。作者は申明銀(しん・みょんうん/Shin Myeong-eun)、ソウル出身のアーティストです。
彼女の作品はペインティングや彫刻で、モチーフはどれも犬、それもプードルというのが特徴です。
バス停のすぐ後ろにいます。 |
プードルを横目に、背後の階段をのぼるとエアロギャラリー”デューン”の中心に出ます。
この階段をのぼります。 階段の途中にはベンチもあり、ランチスポットになっています。 |
階段をのぼるとそこが「エアロギャラリー”デューン”」です。
住民の皆さんだけでなく、お昼時は周辺のビジネスパーソンの憩いの場にもなっています。
天気がいいと、ここでランチを食べるのも、またオススメです。
photo by 加藤淳史 意外と静かで天気のいい日の散歩休憩にはオススメです。 |
陽だまりの広場はこの辺。 |
先ほどの広場の写真の右側に写る箱も、もちろんアート作品です。
フランス出身の現代美術作家、ジャン=フランソワ・ブランによる「ナイトシーン」です。
ここは「光の塔」エリアに当たります。
これです。広場の中心にいくつもの箱……。 |
さらにこの作品にはもう一つ、大きな特徴があります。
なんと夜になると光を発する仕組みになっています。
photo by 加藤淳史 |
さらにさらに、それだけではありません。
この作品、なんと光が動くんです!
夜になると10分位おきに約10分間ランダムな点滅運動を繰り返しており、まるで打ち寄せる波のようにも見えます。
これは意外と知られていないかも……。
筆者も長く百道浜で働いていますが、昨年初めて知りました。
福岡タワーの夜景を見たあと、ぜひ覗いてみてほしい風景です。
photo by 加藤淳史 実はバス通りからも見えます。 下のプードルとあいまって、ちょっとシュール。 |
プードル奧の階段をのぼるとすぐです。 |
さてさて、階段をのぼって左手は「東の広場」になっていて、そこにも作品があります。
photo by 加藤淳史 鮮やかなオレンジが目をひきます。 |
こちらは「ウルトラファインド」と名付けられた、椿昇(つばき・のぼる)による作品です。
写真だとちょっと分かりづらいですが、結構な大きさで存在感があります。
良く見ると表面がタイルのようになっていて光を反射するので、夕方になると夕陽を反射してキラキラ光るんですよ~。
東側の奧は意外と行かない人が多いかも……。 |
そして反対側、階段から右手にあるのが「西の広場」。
photo by 加藤淳史 どこから見ても不思議な形。表面はざらざらです。 |
ここにある作品は「ノスタルジア オブ サーキュレーション」、作者は崔在銀(チェ・ジェウン/Jae-Eun Choi)。ソウル出身のアーティストです。
これまた引き込まれそうな色と不思議な形状をしています。そしてまた大きい……。
全体ではこんな配置。 各所にいくつもベンチがあるので、ゆっくり過ごせます。 |
広場の左奥(南側)には階段があり、そこを下ると緑道に繋がります。
階段からそのまま真っ直ぐ進むと、福岡市博物館の東口に到着です。
先ほどの「ノスタルジア オブ サーキュレーション」の左手に階段。 奧には福岡市博物館の屋根が見えます。 |
階段はこんな感じ。 福岡市博物館東口に続く道路につながっています。 |
いかがだったでしょうか。
暑さもだいぶ和らいで、秋めいてきた今日このごろ。
皆さんも街中のパブリックアートを巡る秋のお散歩に出かけてみてはいかがでしょう?
案内板もあります。 |
※クレジットのない写真は市史編さん室撮影。
【交通案内】
[西鉄バス]「博物館北口」バス停(西向き)
※「博物館北口」バス停までは、博多駅から約25分、天神から約20分(最速の場合)
[福岡市地下鉄]西新駅[K04]から徒歩約15分
※西新駅[K04]までは、博多駅[K11]から約13分、天神駅[K08]から約7分
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[Written by かみね/illustration by ピー・アンド・エル]
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