2020年12月25日金曜日

#みんなでふりかえる福岡市博物館の思い出 エッセー やっしぃさん

 初めて入館したのは、サッカーの試合までの空き時間を安価で潰すためでした。福岡に限らずあちこちの街で暇潰しとして博物館に行きましたが、常設展示のボリュームで福岡……いや博多が古くから栄えた土地だと見せつけられました。


  数年後、某ゲームで収蔵品をモチーフとしたキャラクターに惚れ込み、サッカー観戦や舞台観劇で福岡に飛ぶ回数が増えました。その度に博物館を訪ね、幾度となく常設展示を見ました。


  令和二年十月、昨秋の侍展以来の訪問。「やまいとくらし」展示にて、江戸時代の成田屋が素晴らしい演技から不動明王と同一視され、時には舞台に賽銭が飛んだと説明に書かれていました。千葉県民の私は年が明けると成田山新勝寺に参拝します。そのため、「ふくおかの名宝」展で黒田家にあった不動明王の掛け軸を見た時も、つい心の中で真言を唱えていました。


  成田屋のにらみを眺めて、ふと思いました。時代が変わっても人は祈りを通して何か想いを不動明王に託しているし、疫病のみならず飢えや戦争、天災を何度も先祖が乗り越えたから私は生まれてこられたんだ、と。何度も通り抜けた常設展示室で、鳥肌が立つような心地を味わったのは今回が初めてでした。


  これからも展示を通して何か新しい気づきを得ていければ、と思っています。その場を守って下さる皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。


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