先月、令和2年11月15日(日)、工事休館前の福岡市博物館の講座室で、小さな集まりがありました。
この集まりは、福岡市視覚障害者福祉協会と、市の博物館や文化財関係者が連携して行っている「郷土の歴史を学ぶ」会です。
協会の方たちとともに、福岡の豊かな歴史資源に対する学びを深めることで、視覚に障がいのある人々の「福岡を旅行してみたい」と思う気持ちを盛り上げたり、仕事や社会参画の機会を増やすことができないかな〜、という気持ちで、平成30(2018)年から続けてきた会です。
これまで、
平成30年9月 博物館にて「明治維新から150年 あたらしい日本をめざして奔走した平野国臣」
平成31年1月 博物館にて「江戸時代の武具」
平成31年4月 板付遺跡(博多区板付)の見学会
令和元年11月 埋蔵文化財センター(博多区井相田)と金隈遺跡(博多区金の隈)の見学会
を行ってきました。
令和2年に入ってからは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、しばらく開催を見合わせていましたが、たくさんのウェットティッシュを持ち込むなどして感染対策をはかり、11月15日(日)、琵琶をテーマに集まることになりました。テーマを琵琶としたのは、博物館で催行していた開館30周年記念展「ふくおかの名宝 ー城と人とまちー」、そして、「第32回新収蔵品展 ふくおかの歴史とくらし」の両方に、由緒ある琵琶が展示されていたことにちなんでいます。
さて、この会では「ものに触る」ということにこだわっていますが、今回は、筑前琵琶を再生するプロジェクトを起こしたドリアーノ・スリスさんの大きな協力を得ることができました。
ドリアーノさんはイタリア会館・福岡を主宰するかたわら、40年以上も琵琶の製作・修復に携わっていらっしゃいます。そして、今年の5月、危機に瀕する筑前琵琶の伝統を伝え、楽器づくりや修復の担い手を育成し、筑前琵琶づくりの再興を担う拠点「琵琶館」をたちあげられました。
そして、今回、「郷土の歴史を学ぶ」会の趣旨にご賛同いただき、ご自身のコレクションである盲僧琵琶、筑前琵琶、薩摩琵琶を携え、「琵琶館」で琵琶づくりと修復の学ぶお弟子さんを伴って、会に参画していただくことになったのです。
当日は、博物館市史編さん室の学芸員(近世専攻)の宮野弘樹による「福岡藩の盲僧」のレクチャー、そして、ドリアーノさんと琵琶の関わりのお話のあと、お弟子さんの薩摩琵琶の演奏をみんなで聴かせていただき、最後に、代わる代わる琵琶を触りました。話を聞き、音色を聴き、楽器に触れて形をたしかめ、そして、みんなで語り合うことを通じて、あらためて、この楽器を芯にして紡がれる歴史を体感することができました。
あらためて、ドリアーノ・スリスさんに感謝の意を表したいと思います。
盲僧琵琶をさわる参加者とドリアーノさん |
さて、イタリア会館・福岡では、令和2年12月19日(土)まで、「よみがえる琵琶 ドリアーノ・スリス 修復琵琶展」を開催中です。ぜひ、お運びください。
わたしたちは今後も、ユニバーサル都市・福岡にふさわしい「みんなと伝える・みんなに伝わる」ミュージアムをめざし、さまざまな人と連携・交流しながら、地域の歴史を五感で体感するための取組みを続けていきます。
「こんなことをやってみたら」というアイデアがありましたら、ぜひ、お知らせくださいね。
posted by Shanshan
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