こんにちは。市史編さん室です。
突然ですが、このたび『新修福岡市史ブックレット・シリーズ』の新刊が出ることになりました!
しかもナント同時に2冊!
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| じゃーん! |
これまでのブックレット・シリーズ
市史編さん室では、『新修 福岡市史』という福岡市域の歴史を時代やテーマごとにまとめた自治体誌をつくっています。
具体的には、多くの古文書を翻刻したり発掘調査の成果をまとめたり人々に話を聞いたりして、資料編(考古・古代・中世・近世・近現代)・民俗編・特別編という本をつくってきました。
これらの蓄積をふまえて、2021年から新たな自治体史のスタイルとしてスタートしたのが「新修福岡市史ブックレット・シリーズ」です。
多くの方が手に取ってみたくなるような「ふくおかの本」を世に出すことを目指して、これまでに3冊の本を刊行してきました。
第1弾『わたしたちの福岡市―歴史とくらし―』
第2弾『シーサイドももち―海水浴と博覧会が開いた福岡市の未来―』
第3弾『ふくおか歴史探検隊』
① 歴史をベースにしつつも学習指導要領に沿った「総合学習編」
② 福岡市内の一つの地域に焦点を当てた「地域編」
③ こどもでも読んで一緒に学べる「小学生編」
既存の時代区分や研究分野にとらわれない切り口によるテーマや視点が持ち味のこの3冊は、「新修福岡市史ブックレット・シリーズ」の可能性を探るためのチャレンジでもありました。
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| おかげさまでご好評をいただいております! |
これらを踏まえて、今回からはより時代や分野を軸にしたブックレット・シリーズの刊行が始まります。
その第1弾としてお届けするのが冒頭の2冊。旧石器・縄文時代をテーマにした「縄文時代のタネとムシ」と、弥生・古墳時代をテーマにした「金印と倭国の成立」です。
今回は、この新刊2冊の内容をほんの少しだけご紹介したいと思います。
縄文時代のタネとムシ(著者:小畑弘己)
まずは旧石器・縄文時代の一冊から。
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| オレンジが目に鮮やか! |
本書の著者は、熊本大学名誉教授の小畑弘己(おばた・ひろき)先生です。
小畑先生は長く国内外の旧石器時代を研究され、日本や韓国の旧石器時代や新石器時代の石材研究をされていましたが、近年では「土器圧痕」という研究手法をメインに、主に縄文時代の植物利用(タネ)、あるいは家屋害虫(ムシ)などから、当時の人々の「暮らし」を明らかにする研究をされています。
本書では、この「タネとムシ」に注目。これまで行われた発掘調査などで得られた研究成果をベースにしながらも、それとはまたちょっと違う土器圧痕という研究手法による視点を加えることで、福岡の旧石器~縄文時代を「定住」「栽培」「害虫」そして「エコ」をテーマに捉え直してみようという、自治体史としてはかなり実験的で刺激的な内容です。
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第3章では旧石器時代と縄文時代の大きな違いである
「遊動」→「定住」の変化を見ていきます。 |
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4章ではついに「ムシ」と「土器圧痕」が登場!
(ムシが苦手な方はご注意ください…) |
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5章では土器圧痕から「縄文農耕論」に注目します。
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そして何と言っても注目はタネやムシの詳細スケッチはぜひ手に取ってしっかりご覧いただきたいポイントです。
これは表紙にも使われていますが、すべて小畑先生の手によるもので、タネやムシへの愛があふれています!
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小畑先生によるスケッチを多用した章扉。
どれも繊細で美しいですね。 |
金印と倭国の成立(著者:宮本一夫)
つづいては弥生・古墳時代です。
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この時代の対外交流の象徴でもある
金印と鏡をメインにした表紙。 |
著者は九州大学名誉教授で、現在は四川大学文科講席教授である宮本一夫(みやもと・かずお)先生です。
先ほど紹介した「縄文時代のタネとムシ」でも話題としている農耕が本格的に開始されるのが、ご存じの通り弥生時代です。
本書は、稲作を中心に階層化された社会が形成されていく弥生時代から、日本における古代国家の基礎が築かれた古墳時代において、福岡や北部九州がどのような役割を担っていたのか、とくに大陸や朝鮮半島などとの対外交流に注目してまとめた一冊です。
また、この時代の対外交流の歴史を語る上で欠かすことのできない、タイトルにもなっている国宝「金印」もモチロン登場します。
本書ではとくに、この金印がもたらされた背景や、人やモノの往来によって変化していく社会構造の中で、福岡もまたどのように変化していったのかということについて、考古学的見地や資料を基に、福岡市域の歴史と対外交流について探る一冊になっています
※「モノ」としての金印については「ブックレット・シリーズ③ ふくおか歴史探検隊」で詳しく解説していますので、ぜひそちらもあわせてチェックしてみてください。
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縄文時代から弥生時代につながる解説もあるので
④から続けて読むのもオススメ! |
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弥生時代の始まりについて(第1章)。
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弥生時代の対外交流について(第2章)。
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そして金印!(第3章)
長距離交易における金印について解説しています。 |
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西新町遺跡も登場しますよ。(第4章)
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そして本書には[付録]として、これまでに「ブックレット・シリーズ」で登場した福岡市内の遺跡地図(旧石器時代~古墳時代)が掲載されています!
時代ごとの遺跡地図がまとめて1冊に載っているので、持ち歩きにも便利ですね。
こちらはぜひ他のブックレット・シリーズともあわせてご覧ください。
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どの時代の遺跡が市内のどこにあるか一目瞭然!
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ご紹介した2冊は、4月30日に発売予定です。
今回はかなりかけ足のご紹介となってしまいましたので、詳細な内容や読みどころなどについては、また少しずつご紹介していきたいと思います。
ブックレット・シリーズについては、今回は古い時代から順番に2冊の刊行となりましたが、今後は時代や分野についてはランダムで、古い時代から現代にいたるまで、さまざまな時代の福岡にまつわる本を刊行していく予定です。
どうぞご期待ください!
はじめに
第1章 狩猟と遊動の旧石器時代1-1 旧石器時代のくらしと家
項目情報
旧石器時代とは/旧石器時代の環境/世界の旧石器時代のイエ/旧石器時代の囲炉裏はどこ?/石器ブロックは男性が残したのか?項目情報
道具を進化させた旧石器人/福岡市最古の旧石器/朝鮮半島から来た石器/今山で採集された角錐状石器/最初の組み合わせ槍/遊動生活に最適な石器・細石刃/究極の組み合わせ道具・植刃器/週游生活と石材原産地の「埋め込み戦略」/北部九州の旧石器時代遺跡と生活圏/移動生活の必須アイテム・水筒/狩猟場に残された狩猟具/解説コラム① 姶良Tn火山灰の降灰/解説コラム② 繊維と結びの歴史
Column 1 「害虫」が語る衣服の歴史と人類の拡散
Column 2 楽器を奏でた旧石器人
Column 3 考古学の真実とは~発掘者の心得~
2-1 縄文人のくらし
項目情報
縄文人の一生/骨に残る縄文人の病理と生活習慣/墓地の発生/縄文人の利き手/イヌと仲良し縄文人/土偶と祈り/解説コラム① ひっつきむしと縄文人項目情報
平底土器と尖底土器/土器発明の意義/多様な生活材、籠・網・衣類/土器が教える縄文の布と衣/縄文時代の網/福岡市内の編組製品/縄文時代と旧石器時代の道具立ての違いとその意味/罠猟の発達/解説コラム② 見よう見まねの大切さ/解説コラム③ 年代を知る~放射性炭素年代IntCal20~項目情報
定住という生活スタイル/遊動生活から定住生活への動機の変化(定住革命)/縄文時代の家比べ/屋外の調理施設項目情報
縄文時代のトイレはどこ?/貝塚から出た食べものとゴミ/ゴミ処理問題の発生と森林への負荷/解説コラム① 縄文時代の環境変化①~縄文海進~項目情報
ヒトが動く→モノが動く/交易による資源調達システムの確立/石斧の生産と交易/縄文人のアクセサリー/クロム白雲母と九州ブランドの拡散項目情報
韓国最古の穀物発見/対馬越高遺跡の発掘調査/アカホヤを遡らない隆器文土器/石器石材とクジラ漁/解説コラム② 縄文時代の環境変化②~鬼界カルデラの噴火~項目情報
コクゾウムシの意味するもの/コクゾウムシの起源と害虫化/ムギ害虫とイネ害虫(コクゾウムシの拡散)/イネを食べなかった縄文コクゾウムシ/海峡を越えたコクゾウムシ(食料運搬)/中国初の新石器時代コクゾウムシの発見/解説コラム① 土器圧痕と土器圧痕法項目情報
土器に練り込まれたコクゾウムシ/冷蔵庫と食器棚の中身―コクゾウムシの居場所―/土器はおうちの中で作られた/土器作りと混和材/土器作りともう一つの混和材/土器圧痕として発見されるタネやムシの特性/解説コラム② 「雑草」を食べた縄文人/解説コラム③ 大原D遺跡は「80%コクゾウムシ」?項目情報
「ガイチュウ」って何?/縄文時代の防虫剤?/縄文時代の害虫たち/縄文人の家に侵入したゴキブリ/ネズミだらけだった縄文ハウスColumn 2 ムシ食はあったのか?
項目情報
四箇遺跡の栽培植物の謎/縄文時代の栽培植物/イネ・ヒエ・オオムギは別時代のもの/解説コラム① ダイズとアズキの見分け方項目情報
考古学の「栽培化」と新たな理論/「縄文農耕論」とは?/縄文時代の真の栽培植物とは?/アク抜きか中長期貯蔵か/福岡市内にも縄文晩期の雑穀農耕はあったのか?/樹木を育てた縄文人/植物性資源利用の増大/南九州縄文にヒエ栽培はあったのか/定住化と濃厚開始による人口増加のメカニズム/解説コラム② AIは遺跡出土のタネを同定できるかColumn 2 土器にタネをまいた縄文人
項目情報
時代区分の基準とは/土器圧痕を用いた新たな手法/稲作の始まり=弥生時代の始まりではない?項目情報
土器圧痕のタネとムシからみえてきたもの/新たな縄文時代・縄文人Column 1 X線が見つけた大発見~日本最古の貝殻入り土器~
おわりに
プロローグ
項目情報
縄文晩期農耕の始まり/弥生時代の始まり/支石墓の到来/弥生時代開始期の実年代/環濠集落の出現/木棺墓の登場/磨製石棺と初期農耕伝播二重構造モデル項目情報
板付式土器の成立/弥生文化と日本語/弥生時代の始まりと社会の変化項目情報
水田稲作の始まり/福岡平野・早良平野の弥生時代早・前期における遺跡の変遷項目情報
板付式土器・遠賀川式土器文化の広がり/磨製石剣と紡錘車の西日本への拡散/紡錘車の拡散/弥生文化の東漸1-5 日本農耕文化の成立




















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