2018年6月18日月曜日

浄土九州展ブログ 西方に極楽あり その5

この手どう?


今回は仏像調査の話題をひとつ。
佐賀市内にある称念寺の阿弥陀如来立像(鎌倉時代)を調査したときのこと。仏壇から像を降ろして各部の計測や形状・構造などを確認していきます。

撮影も終わり少しほっとしていると、「佐賀の番長」こと学芸員T氏が口を開きました。

T氏「この手どう?」
末吉「どうって、普通にオリジナルじゃないですか。」
(※古い仏像の手足は後世に修理されていることも多いのでよく観察する必要があるのです。)
T氏「いやいや、この手どうじゃなかと?」
末吉「どういうこと?」
T氏「ほら、さわったら冷たかけん。」
末吉「ええっ~、マジですか?」

半信半疑で触ってみると、確かにヒンヤリ。
そう、この阿弥陀像は木で作られているのですが、手首先だけ銅製だったのです。

銅手の阿弥陀は関東地方で数例報告されていますが、滅多にお目にかかれません。頭から、そんなものはないだろうと思い込んでいた僕の失態でした。Tさん、危ういところを救っていただきありがとうございました。


称念寺阿弥陀如来像は浄土九州展で公開されるので、ぜひ御覧下さい。

Posted by 末吉(浄土九州展担当学芸員)

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