2024年8月7日水曜日

特別展「大灯籠絵」を楽しむために その13「大灯籠絵」再発見の物語

 

THE ASTONISHING WORLD OF GIANT LANTERN PAINTINGS

会期:2024913日(金)~114日(月・休)  会場:福岡市博物館


この秋、福岡市博物館では、特別展「(おお)(とう)(ろう)()」を開催します。

展覧会の開催に向けて、「大灯籠絵」にまつわる話題をお届けします。

 

福岡県指定有形民俗文化財に「(おお)(はま)(ながれ)(かん)(じょう)(おお)(とう)(ろう)」が指定されたのは

昭和33年(1958)のことです。

しかし、地域で聞き取り調査をしてみると、昭和30年代から40年代ころから、

徐々に「大灯籠」を飾る行事は低調になっていっていたようです。

「大灯籠」を飾る道路の交通量増加、担い手の不足などが

共通して語られる原因です。

「大灯籠」を飾ることを中止してしまった町もあり、

「大灯籠絵」は倉庫などにしまい込まれているうちに、

朽ちてしまったり、忘れられてしまったり……

 

昭和の終わりから平成にかけて、

かつて「大灯籠」を飾る行事を子ども時代に楽しんでいた世代から、

「大灯籠」の話を聞いて育った若手が中心となって、

町や町内の夏祭りを盛り上げるために、「大灯籠」を復活させるプロジェクトが動き出します。

 

しかし、「大灯籠」の復活から30年余り、そろそろ世代交代の時期にさしかかり、

「大灯籠」を飾る行事は、再び岐路にたたされています。

 

文化財としての「大灯籠」の調査は、

令和3年(2021)に、

福岡県文化財保護課・福岡市文化財活用課・福岡市博物館が共同で、

「大浜流灌頂大灯籠」の現状調査というかたちでスタートしました。

この調査によって、

大浜流灌頂継承保存会が、県指定有形民俗文化財のリストには入っていない、

「大灯籠絵」を複数点伝えていることが確認できました。

最大の大灯籠絵 一得斎高清「大徳寺焼香之図」を「発見」した日(2021年)


さらに、福岡市文化財活用課と協力し、

地域の皆さんの力も借りながら、調査をすすめたところ、

福岡市内に60点余りの「大灯籠絵」が現存していることを確認できました。

今宿の神社の倉庫から「発見」された大灯籠絵 白水耕雲「加藤清正朝鮮国蔚山に勇戦之図」(2021年)

黒門で地域の皆さんと一緒にすすめた調査(2021年)

福岡市博物館では、古い写真の調査もすすめ、現存は確認できないながらも、

かつてあったことが写真でわかる「大灯籠絵」を10点余り見つけました。

 

ともに調査をすることで、あらためて「大灯籠」に注目するようになった地域の動きと、

福岡市内の「大灯籠絵」についての調査の成果が結びつき、

特別展「大灯籠絵」に結実しようとしています。

 (by おーた)

 

 


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