THE ASTONISHING WORLD OF GIANT LANTERN
PAINTINGS
会期:2024年9月13日(金)~11月4日(月・休) 会場:福岡市博物館 |
この秋、福岡市博物館では、特別展「大灯籠絵」を開催します。
展覧会の開催に向けて、「大灯籠絵」にまつわる話題をお届けします。
福岡県指定有形民俗文化財に「大浜流灌頂大灯籠」が指定されたのは
昭和33年(1958)のことです。
しかし、地域で聞き取り調査をしてみると、昭和30年代から40年代ころから、
徐々に「大灯籠」を飾る行事は低調になっていっていたようです。
「大灯籠」を飾る道路の交通量増加、担い手の不足などが
共通して語られる原因です。
「大灯籠」を飾ることを中止してしまった町もあり、
「大灯籠絵」は倉庫などにしまい込まれているうちに、
朽ちてしまったり、忘れられてしまったり……
昭和の終わりから平成にかけて、
かつて「大灯籠」を飾る行事を子ども時代に楽しんでいた世代から、
「大灯籠」の話を聞いて育った若手が中心となって、
町や町内の夏祭りを盛り上げるために、「大灯籠」を復活させるプロジェクトが動き出します。
しかし、「大灯籠」の復活から30年余り、そろそろ世代交代の時期にさしかかり、
「大灯籠」を飾る行事は、再び岐路にたたされています。
文化財としての「大灯籠」の調査は、
令和3年(2021)に、
福岡県文化財保護課・福岡市文化財活用課・福岡市博物館が共同で、
「大浜流灌頂大灯籠」の現状調査というかたちでスタートしました。
この調査によって、
大浜流灌頂継承保存会が、県指定有形民俗文化財のリストには入っていない、
「大灯籠絵」を複数点伝えていることが確認できました。
最大の大灯籠絵 一得斎高清「大徳寺焼香之図」を「発見」した日(2021年) |
地域の皆さんの力も借りながら、調査をすすめたところ、
福岡市内に60点余りの「大灯籠絵」が現存していることを確認できました。
今宿の神社の倉庫から「発見」された大灯籠絵 白水耕雲「加藤清正朝鮮国蔚山に勇戦之図」(2021年) |
黒門で地域の皆さんと一緒にすすめた調査(2021年) |
福岡市博物館では、古い写真の調査もすすめ、現存は確認できないながらも、
かつてあったことが写真でわかる「大灯籠絵」を10点余り見つけました。
ともに調査をすることで、あらためて「大灯籠」に注目するようになった地域の動きと、
福岡市内の「大灯籠絵」についての調査の成果が結びつき、
特別展「大灯籠絵」に結実しようとしています。
(by おーた)
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