埋め立て地にできたニュータウン「シーサイドももち」の、前史から現代までをマニアックに深掘りした『シーサイドももち―海水浴と博覧会が開いた福岡市の未来―』(発行:福岡市/販売:梓書院)。
この本は、博多・天神とは違う歴史をたどってきた「シーサイドももち」を見ることで福岡が見えてくるという、これまでにない一冊です。
本についてはコチラ。
この連載では【別冊 シーサイドももち】と題して、本には載らなかった蔵出し記事やこぼれ話などを紹介しています。ぜひ本とあわせてお楽しみいただければ、うれしいです。
〈082〉シーサイドももちの緑地さんぽ① ~地行浜&海浜エリア編~
シーサイドももち地区(早良区百道浜・中央区地行浜)は埋立地として誕生しましたが、土地の用途は住宅のほか、学校や病院、文化・商業施設、さらには多くの企業ビルや娯楽施設もあり、多種多様です。
埋立地としての計画が始まったのは昭和35(1960)年のことですが、当初から現在のような姿を想定していたわけではなく、ご多分に漏れず百道も当時主流だった「工業都市的なまち」が目指されていました。
その後紆余曲折を経て、昭和46(1970)年の福岡市総合計画で、現在のようなウォーターフロントとしての姿に繋がる「シーサイドタウン計画(臨海部大団地)」が掲げられるようになったわけです。
このときの計画では、昔から百道海岸に広がっていた松原や砂浜を中心とした自然の風光美を残し、さらにまちの緑化をすすめることが盛り込まれていました。
シーサイドももち地区が、いわば人工のまちでありながら、海と緑に囲まれた自然の多いエリアなのは、そういった理由があったんですね。
そんなシーサイドももちを隅々まで楽しむには、徒歩やサイクリングがオススメです。
今回は、シーサイドももち地区に設けられた公園・緑道・緑地などを
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まず、シーサイドももち地区にどのくらい公園や緑地があるか、地図で見てみます。
これらを順に回っていきたいと思います。
今回のルートはこんな感じです。
地図の右端にある唐人町側の地行浜エリア(地行浜橋)からスタートして、最後は百道浜エリア(百道浜橋)を目指したいと思います。
なお、今回は徒歩だけでなく自転車でもまわることができるルートをご紹介します。
それではスタートします。
ちょっと距離がありますので、水分を補給&休憩しつつ、がんばって行きましょう!
1.スタート地点(地行浜橋)
まずは地行浜橋、シーサイドももち地区の東の入口です。
最寄りの唐人町駅(福岡市地下鉄)からは、1番出口を出て菰川沿いに約450mほど歩くと到着します。
ここから東へ向かって歩きます。
さっそく、「MARK IS福岡ももち」が見えてきました。
シーサイドももち地区最大の商業施設で、隣には高層マンションの「ザ・パークハウス 福岡タワーズ」や、奥にはドームの屋根も見えています。
地行3丁目の交差点。 |
信号を渡り、駐福岡大韓民国総領事館沿いに西に向かっています。 |
2.みぞえ画廊(福岡市中央区地行浜1-2-5)
※ちょっと寄り道
駐福岡大韓民国総領事館から脇道に入ると、みぞえ画廊があります。
こちらは公園ではありませんが、道路からでも美しい緑の庭を見ることができます。
敷地内にはギャラリーのほか、フラワーショップやワイン専門店も併設。
まだ歩き始めてちょっとですが、休憩がてら立ち寄ってみるのも楽しいかもしれません(休憩早い…)。
みぞえ画廊のホームページはコチラをクリックしてご覧ください。
3.樋井川河畔緑道(地行浜エリア/南側)(中央区地行浜1丁目付近)
【種別】緑道
【大きさ・長さ】約420m(地行浜エリアの全長では約600m)
【施設】ベンチ
角にはいつもお巡りさんが立っています。
ここから緑道がスタート。
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この樋井川河畔緑道は、百道浜橋をはさんで地行浜地区と百道浜地区それぞれ、樋井川沿いに続いています。
舗装された川沿いの歩道と、一段下がって未舗装の遊歩道が併走しています。
途中には複数箇所にベンチがあり、途中で休憩することもできます(休憩は大事ですから)。
遊歩道は自転車でも通ることができますが
木の根など凹凸があるので要注意です。
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4.地行浜西公園(中央区地行浜1丁目3)
【種別】公園
【大きさ・長さ】2,497 ㎡
【完成した年】1990年
【施設】ベンチ・遊具(すべり台)・あずまや・トイレ・広場
樋井川河畔緑道を海に向かうと、すぐ右手に地行浜西公園が見えてきます。
公園の手前には小さなグラウンドがあります。
中央の建物はトイレです。
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半分は砂場になっていて、中央には一風変わったすべり台が。 |
この公園は遊具もあり、周辺が全面砂地になっているので子供も遊べますし、あずまややベンチ、トイレもあるのでちょっとした休憩にも最適です。
隣には広場があって、ちょっとしたキャッチボールなどもできるのですが、その裏手(東側)を見ると、かわいらしい小さなお地蔵さまが鎮座されていました。
やさしいお顔のお地蔵さま。 |
さきほどの樋井川河畔緑道にもどって先に進みます。
こういう緑のトンネルが嬉しいですね。 ここを抜けると地行中央公園です。 |
5.地行中央公園(中央区地行浜1丁目3)
【種別】公園
【大きさ・長さ】22,810 ㎡
【完成した年】1994年
【施設】ベンチ・遊具(コンビネーション遊具・スプリング遊具・砂場)・水飲み場・あずまや・トイレ・広場・自動販売機・時計塔
【その他】モニュメントあり
地行浜エリア最大の公園、地行中央公園です。
ここはヒルトン福岡シーホークやドームに面しており、バス通りに直結しているので、中に入らずとも目にしたことのある方は多いと思います。
巨大なモニュメント(「大きな愛の鳥」)や時計塔が印象的な公園です。
これが「大きな愛の鳥」。
作者はニキ・ド・サンファル(1930-2002)。
フランス出身の彫刻家です。
上の鳥は風で倒れないよう、風向きによって動くそうです。
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公園には遊具もありますが、体を動かせるスペースがとても広く、芝生(というか草地)があるグラウンドエリアを中心に、東西に石畳のエリアがある設計になっています。
石畳エリアには各所にベンチもたくさん設置されています。
公園の奥にはスロープがあり、自転車も通行が可能です。
スロープは、芝生のグラウンドエリアを通ってドーム側に抜けることができます。
スロープの一番上には大きなあずまやがあります。
このあずまやから公園の東側(ドーム側)の時計塔がある円形広場に下りることができます。
自転車はスロープがありますが、あずまやのすぐ目の前には大きな階段もあります。
結構大きく急なので上り下りするには大変ですが、座って休憩するにはもってこいの場所でもあります。
時計塔を中心とした円形広場はベンチやモニュメントも多く、ゆっくりと時間を過ごすことができますよ。
彫刻「木の精」。作者はドルヴァ・ミストリー。 |
ベンチの奥には巨大松ぼっくり形の「泉「松の実」」。
外尾悦郎によって、ドーム建設に合わせ1993年に制作されました。
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見所が多く長居したいところですが、そろそろ公園を出てさらに海側へ向かって行きます。
「愛の鳥」の目の前に信号があります。 |
ここを渡っていきます。 |
6.樋井川河畔緑道(地行浜エリア/北側)(中央区地行浜2丁目2)
【種別】緑道
【大きさ・長さ】約180m(地行浜エリアの全長では約600m)
【完成した年】1993年
【施設】ベンチ・モニュメント・大型バス専用駐車場
信号を渡ると川沿いに、先ほど歩いた樋井川河畔緑道が続いています。
ここも、先ほどと同じように川沿いの舗装の歩道と未舗装の遊歩道がありますが、さらにこちらはレンガ敷きの広いスペースが併設されています。
そして、そこには巨大な自然石のモニュメントが。
この石製のモニュメントは1993(平成5)年にここが整備された時にあわせて設置されたもので、手前の平たい板状のものと、100mほど離れた同一線上にくびれがあり上部には穴が空いた不思議な形のものがそれぞれ1体ずつ、対峙するように置かれています。
高さはどちらもおよそ3mほどあるようです。
大きな愛の鳥までほぼ一直線。謎…。 |
作者などは不明ですが、なにやら意味ありげなモニュメント…。
周りには何もなく、ぽつんとたたずむ姿は、その大きさもあいまって、なんとも不思議な空間です。
このスペースにもベンチがありますよ。
ちなみにこのスペースは自転車では入れませんが、ベンチは歩道の方にもあります。
さきほどモニュメントがあるスペースの奥には、最近整備された大型バス専用の駐車場があります。
かつてはドームの東側道路に並んでいた観光バスですが、現在ではこのように整備されたことで、多くのインバウンドを中心とした観光客の皆さんがシーサイドももちを訪れやすくなっているんですね。
緑地の一部を改装して作られた大型バス専用駐車場。 |
こちらは平成28(2016)年3月の様子です。
現在のMARK
IS福岡ももち(当時はホークスタウン)の東側に
大型バスがずらりと並んでいました。
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樋井川河畔緑道から高速道路の下を通る道が海まで道がつながっているので、このまま進んでみましょう。
7.シーサイドももち海浜公園(地行浜地区)(中央区地行浜2丁目3付近)
【種別】その他
【大きさ・長さ】約41,000 ㎡
【完成した年】1989年
【施設】ベンチ・あずまや・トイレ・シャワー・更衣室
樋井川河畔緑道を抜けると、ついに海に出ました!
ここはシーサイドももち海浜公園の地行浜地区。かつての百道の美しい海岸線を参考にして、シーサイドももち地区につくられた人工海浜です。
実はシーサイドももちの浜辺は「海水浴場」ではなく「海浜公園」なので、許可された時期以外の遊泳は禁止されています。ご利用の際にはどうぞご注意くださいね。
さきほどの大型バス駐車場から歩いて数分で海に出られることもあり、この日も海外からの旅行客の皆さんが団体で訪れ海を楽しまれていました(ちょっと写真では分かりづらいですが…)。
ここから西へ向かって浜沿いに歩いていきます。
地行浜と百道浜をつなぐ橋「なぎさ橋」は、歩行者専用橋。
高速道路のすぐお隣にあります。
8.シーサイドももち海浜公園(百道浜地区)(早良区百道浜2丁目)
【種別】その他
【大きさ・長さ】約110,000 ㎡
【完成した年】1989年
【施設】ベンチ・トイレ・シャワー・更衣室・バレーネット・水場・パーゴラ・あずまや・ボードウォーク・多目的広場
【その他】マリゾン・渡船場(うみなかライン発着所)
これぞシーサイドももち!という風景ですね。こちらはシーサイドももち海浜公園百道浜地区です。
これからの季節はとくに気持ちよくお散歩できそうですね。
橋からの道はスロープになっているので、自転車やベビーカーなどでも通行が可能ですよ。
浜辺に沿って続く遊歩道は、途中にはいくつものベンチが設置されています(ベンチチェックがしつこくてスミマセン…)。
休憩は大事ですからね。 |
また、海浜に沿って植えられた松林の中には、海沿いの歩道と並行して遊歩道があるので、松林の中をゆっくり散歩することもできます。
松林の中は日陰になっていて風も通るので気持ちがいいです。 自転車も通行できます。 |
海浜公園の百道浜地区は設備も多く、パーゴラやバレーコートなどの屋外設備に加え、レストランや結婚式場のあるマリゾンも、海浜公園の一部です。
これが「パーゴラ」です。東西に2つ設けられています。 |
マリゾンも公園の一部なんですね。 |
西側にあるバレーコート。
学生さんなどでいつも賑わっています。
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砂を洗い落とせるシャワーや更衣室も完備。
この季節は鯉のぼりも泳いでいました。
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老若男女、たくさんの人がくつろいだり遊んだり食べたり飲んだり…。外で過ごすにはいい季節になり、それぞれ思い思いの時間を楽しんでおられました。
中央の階段を上ると福岡タワーに行くことができます。 |
そしてここも地行浜地区と同じく、許可された時期以外は泳ぐことはできません。
印象としては、同じ海浜公園でも地行浜地区がインバウンドを含む観光客の皆さんが多いのに対し、百道浜地区は学生を中心に地元の方々が多く利用されているように感じました。
せっかくなので脇道の松林にも入ってみます。
ところどころに松林に入る脇道があります。 |
松林を少し進むとふたたび高速道路が見えてきて、そちらに向かって道が続いています。
高速道路の上を横切る形でスロープがつくられており、ここを進むと次の目的地である百道浜北公園に行くことができます(ただし、自転車では通り抜けできませんのでご注意ください)。
この奥が百道浜北公園です。 |
9.百道浜北公園(早良区百道浜4丁目30)
【種別】公園
【大きさ・長さ】3,484 ㎡
【完成した年】1993年
【施設】ベンチ・遊具(すべり台)・広場
百道浜北公園は、住宅街の中にある小さな街区公園です。
ここにも小さな遊具と広場が併設されています。
ふたたび海浜公園に戻ります。
松林の道に戻り、さらに西へと歩くと、またまた脇道が。
ここからは、海浜公園内の多目的広場に行くことができます。
ちょっと分かりづらいですが、この道を左に…。 |
一応道ですので、ご安心ください。 |
10.シーサイドももち海浜公園(百道浜地区)多目的広場(早良区百道浜4丁目2)
【種別】その他
【大きさ・長さ】約4,500 ㎡
松林を抜けると多目的広場に到着です。
この広場は海浜公園の一部で、占有しなければ許可申請なしでも遊ぶことができます。
駐車場があり、ここまで車で来ることも可能です。
電気自動車の充電スタンドもあります。 |
多目的広場は思いのほか広いスペースなので、シートを広げてお弁当を食べたり、バドミントンなんかもできそうですね。
ただし、野球のバッティング・ゴルフ・凧揚げ・ロケット花火や打ち上げ花火などは禁止。
また高速道路も近いので、ボールを使う場合は注意が必要です。
注意事項が書かれていますので、安全に楽しみましょう。 |
なお、シーサイドももち海浜公園の利用にはさまざまな規約がありますので、ご利用の際には公式ホームページで確認してくださいね。
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・・・と、今回はここまで!
ここから先の百道浜地区は、また次回お送りしたいと思います。
【ここまでの移動距離】約3.2km
【ここまでの所要時間】徒歩:約1時間30分/自転車:約30分
※ 地図のベースはピー・アンド・エル制作。
#シーサイドももち #公園 #緑地 #海っぴビーチ #マリゾン #ウォーキング #サイクリング #熱中症に注意!
[Written by かみね/illustration by ピー・アンド・エル]
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