2024年6月21日金曜日

【別冊シーサイドももち】〈084〉シーサイドももちの緑地さんぽ② ~百道浜エリア編~

  

埋め立て地にできたニュータウン「シーサイドももち」の、前史から現代までをマニアックに深掘りした『シーサイドももち―海水浴と博覧会が開いた福岡市の未来―』(発行:福岡市/販売:梓書院)。


この本は、博多・天神とは違う歴史をたどってきた「シーサイドももち」を見ることで福岡が見えてくるという、これまでにない一冊です。


本についてはコチラ


この連載では【別冊 シーサイドももち】と題して、本には載らなかった蔵出し記事やこぼれ話などを紹介しています。ぜひ本とあわせてお楽しみいただければ、うれしいです。










〈084〉シーサイドももちの緑地さんぽ② ~百道浜エリア編~


公園や緑地の多いシーサイドももち地区(早良区百道浜・中央区地行浜)。

埋立地としての計画がかたまった昭和46(1970)年の福岡市総合計画のころから、現在の姿に繋がる「シーサイドタウン計画(臨海部大団地)」が掲げられ、昔から百道海岸に広がっていた松原や砂浜を中心とした自然の風光美を残し、さらにまちの緑化をすすめることが盛り込まれていました。


人工のまちでありながら緑が多いこのエリアをゆっくり歩いて、あるいは自転車でめぐってみようという「シーサイドももち緑地さんぽ」。

後半は、[百道浜エリア]をめぐります。


* * * * * * *


さて、シーサイドももち地区に現在ある「公園・緑道・緑地」はこんな感じです。



これらをめぐりながらシーサイドももちを一周するために今回設定したおさんぽルートは、コチラ。


地図の右端にある唐人町側の地行浜エリア(地行浜橋)からスタートして、最後は百道浜エリア(百道浜橋)を目指ます。

※ 今回は徒歩だけでなく自転車でもまわることができるルートをご紹介しています。




前回の[地行浜&海浜エリア編]では、ここまでやって来ました。



スタート地点の地行浜橋からここまでの移動距離は、約3.2km。所要時間は、徒歩:約1時間30分自転車:約30分でした。

意外と距離がありましたね。



今回はこの続き、[百道浜エリア編]へと進んで行きたいと思います。

前回最後に訪れた、シーサイドももち海浜公園多目的広場を抜けた、室見川沿いの道からスタートします。




それではスタートします。

ここからも意外と距離がありますので、水分を補給&休憩しつつ、がんばって行きましょう!





11.百道浜西緑地(早良区百道浜4丁目)

【種別】緑道

【大きさ・長さ】17,663 ㎡

【完成した年】1989年

【施設】ベンチ




室見川の河口です。
対岸は愛宕浜エリア、右に見えるのは能古島です。

沿道にはたくさんの松の木が植えられています。
これもかつての「百道松原」を思い起こさせる姿です。


室見川沿いの道は見通しも良く、散歩やランニングには最適の道です。

途中には所々にベンチが設置されているので、休憩しながら進むことができていいですね。


松の木のおかげで日陰が多く、暑い日でも安心です。




12.百道静松苑(早良区百道浜4丁目10)

【種別】その他

【大きさ・長さ】約3,000 ㎡

【完成した年】2001年

【施設】ベンチ・モニュメント(石柱)



西緑地から高速道路側に入れる脇道があり、そこを入ると突然石の庭園が現れます。


この道?を入って行くと…。

こんな空間が出現!

ここは「百道静松苑」というスペースです。

この名前を記した碑があって、それを見るとここは庭師の第十六代佐野藤右衛門さんによって監修、命名されて、2001(平成13)年に開園したと記されていました。



この碑は百道浜4丁目戸建地区町内会によってたてられているので、町内の方がお世話をされているようです。

高速道路の下の、ちょっと変わった空間です。


高架を抜けると松と石が置かれた空間。

ここから川沿いには戻らず、東の方へ進みます。


住宅地側からも西緑地への入口(看板)がありました。
この道の奥に「百道静松苑」があります。




13.百道浜西公園(早良区百道浜4丁目4)

【種別】公園

【大きさ・長さ】2,437 ㎡

【完成した年】1989年

【施設】ベンチ・遊具(すべり台2基)・水飲み場




西緑地側(室見川側)から公園に入ります。

ちょっと変わったすべり台が目を引く公園です。

戸建エリアとマンションの間にあり、この日も学校帰りの子供たちが元気に遊んでいました。


この半円形のものがすべり台です。

公園の外には百道浜4丁目戸建地区町内会の防災倉庫がありました。

防災倉庫の横を通り、このまま戸建てエリアの方に進んでいきます。




公園を抜けるとすぐに、モニュメント「海生風」が現れました。


公園を抜けた道に謎の物体が出現。

写真の左奥が先ほど通った百道浜西公園です。

なかなかの迫力。


これは、シーサイドももちのシンボルとして1989年に制作されたモニュメントです。

作者の赤堀光信さんは彫刻家で九州大学名誉教授でもあります。

このモニュメントには「この街に暮す人々が、自然の象徴としての海が持つ尊厳と、海が運んでくる限りないエネルギー感をいつまでも感じ続けていられるように」(説明板より)との願いが込められているそうです。



モニュメントから左手に曲がり、道に沿って住宅街の中を進みます。





14.百道浜2号緑地/海と太陽の広場(早良区百道浜4丁目24)

【種別】都市緑地

【大きさ・長さ】304 ㎡

【完成した年】1991年

【施設】ベンチ・モニュメント



住宅街を進み、小学校の裏手あたりのところで1本東側の道に入ります。


この道を抜けて行きます。
戸建てエリアは各家の植栽も豊かです。

住宅街の中を抜けると、また少し広い道に出ます。


まるで迷路のよう…。

この道を進むと脇道が現れます。



百道浜2号緑地の看板が目印です。



そして看板の脇にはステキな小径とカラフルなゲートが…。



これが百道浜2号緑地の入口です。

なんてメルヒェン!!




カラフルなートをくぐると、福岡山王病院前のバス通り(市道地行百道浜線)に出ました。

じゃーん!


ゲートと同じデザインで、モザイクタイルの壁面が美しいスペースです。



一部はベンチになっていて、中央にはイルカとカメのモニュメントが地面(水面?)から顔を出しています。





「百道浜2号緑地」という正式名称とは別に、「海と太陽の広場」と名付けられているのも楽しいですね。



ちなみにこのスペース、実は2019(平成31)年に放送された「大分むぎ焼酎 二階堂」のCM(「本を読む人編」)でも使用された場所なんですよ~。




15.百道浜1号緑地(早良区百道1丁目31)

(MAP)

【種別】都市緑地

【大きさ・長さ】261 ㎡

【完成した年】1997年

【施設】ベンチ・あずまや



2号緑地があるということは、当然1号緑地もあります。


1号緑地は2号緑地と同じく、シーサイドももちをぐるっとめぐるように通る市道地行百道線沿いにあります。

分かりづらいですが、木々の中に屋根が見えている辺りが緑地です。

西鉄バスの「ももち浜クリニックゾーン前」バス停のすぐ前にあずまやがあるので、一見バスの待合所のようにも見えるかもしれませんね。




ここから道の向こう側を見ると、道が続いているのが見えます。


左に見切れている白い建物が百道浜公民館です。

 

この道が次の目的地です。

なお、すぐそばには信号がないので、少し先の「総合図書館西口」交差点で信号を渡り、反対側に行ってみたいと思います。


信号を渡って向こうの道へ行きます。




16.百道2号緑道(早良区百道浜3丁目1)

【種別】緑道

【大きさ・長さ】8,707 ㎡

【完成した年】1987年

【施設】ベンチ



信号を渡って折り返すと、公民館の手前から東に向かって続く緑道に入っていきます。

この道は、徒歩もしくは自転車が通行できるようになっています(バイクは進入禁止です)。

ここを入っていきます。



さきほど通ったバス通りもそうですが、この道は1989(平成元)年にシーサイドももちで開催された博覧会「よかトピア」の時から残っている道の一つです。

よかトピア開催時、この道はちょうどパビリオンなどがあるエリアの一番南端に当たるところで、会場内を移動するためのガイドウェイバスのルートにも一部重なっていました。


現在の地図によかトピアの会場(灰色)を重ねたもの。
オレンジの部分がガイドウェイバス、緑が現在の2号緑道です。

 


両サイドには木々や花々が植えられており、ベンチもあります。

お昼時には近隣の方々のランチの場所にもなっています。






緑道はまだまだ続くのですが、ここで一度道を逸れて次の目的地へ向かいましょう。

右側の車止めがある所を右に入っていきます。

こんな感じで道が続いています。なぜかトロピカルな木が目印です。




17.百道浜中公園(早良区百道浜3丁目4)

【種別】公園

【大きさ・長さ】2,563 ㎡

【完成した年】1993年

【施設】ベンチ・遊具(スプリング遊具、すべり台)・花壇



 

百道浜中公園は、その名の通りマンション群(シーサイドももちアクアコート)の中にありますが、住民以外の方でも利用することができ、通り抜けも可能です。


公園は細長く、道の途中に遊具があります。
自転車でも通れますが、道が狭いので注意が必要です。

なぞの生物の形をしたスプリング遊具。
左のはペリカン…?



公園を進むと、美しい花壇が見えてきます。この花壇はアクアコートの自治会の皆さんを中心に活動されている百道浜中公園愛護会の皆さんによって整備されているそうです。

円形の花壇は、この公園のランドマークです。

 


百道浜中公園愛護会は、四季の植物を楽しめる公園づくりをすることで潤いある地域づくりに貢献し、それよって自治会と地域住民の交流も活発になり、シーサイドももちを訪れる人にとっても魅力あるまちになるようにと活動されている団体です。


所々にベンチや休憩スペースもありますよ。





18.百道中央公園(早良区百道浜3丁目2)

【種別】公園

【大きさ・長さ】40,013 ㎡

【完成した年】1988年 ※2024年に改装

【施設】ベンチ・パーゴラ・テーブル・手洗い場・幼児用デッキ・管理棟・自動販売機・芝生広場・時計・遊具(ドーム型遊具・アスレチック遊具・砂場・マット・すべり台・回転遊具ほか)・駐車場・駐輪場・トイレ




中公園を抜けると、百道浜エリア最大の公園である、百道中央公園に到着しました。


中公園の出口のすぐ目の前に百道中央公園があります。


百道中央公園は、シーサイドももち地区が完成したのとほぼ同時につくられており、一帯でも〝最古参〟

ですが、つい最近「インクルーシブな子ども広場」の取り組み第1号として改装されたばかり。ぴかぴかな公園に生まれ変わっています。



福岡市では「ユニバーサル都市・福岡」(誰もが思いやりをもちすべての人にやさしいまち)の実現を目指し、誰もが安心して自分らしく遊べる「インクルーシブな子ども広場」の整備を進めています。

インクルーシブとは、「誰もがお互いを理解し、安心して笑顔で、自分らしく遊ぶことができる広場・公園」がコンセプトとなった公園のこと。

公園設計や遊具など、ワークショップやアンケートを行ってつくられた、市民参加型の取り組みの一つです。


「インクルーシブな子ども広場」についてはこちらをご覧ください。




改装されたばかりということもあってか、平日でもたくさんの人で賑わっています。

新しい遊具ではたくさんの子供たちが遊んでいました。


手すりや自転車置き場、そして歩道には点字ブロックも。


「こういう風に遊んでね!」ということを説明した案内板。




ちなみに、こちらが改装前の百道中央公園の様子です。

以前も見通しが良く広々とした公園でしたが、より使いやすく、遊びやすくなっているようです。




公園の東側はグラウンドになっていて、野球やサッカークラブの練習が行われていて、地行中央公園とはまた違った雰囲気です。



管理棟やトイレ、自動販売機などの設備も充実しています。

左は駐車場、右の建物は管理棟です。

こちらはトイレ。



ちなみにこの公園の隅には、ヤップ島の石貨の野外展示があります。

突然の石貨。管理棟とトイレの間くらいにあります。


ヤップ島の石貨についてはコチラをご覧ください。





19.百道1号緑道(早良区百道浜3丁目1)

【種別】緑道

【大きさ・長さ】9,907 ㎡

【完成した年】1988年

【施設】ベンチ・モニュメント




ようやく半分まで来ました!


百道中央公園から出ると、百道浜地区の中心を南北に通るサザエさん通りに出ます。

公園の前の道路から北に続く道が百道1号緑道です。


ここからタワーに向かう道が百道1号緑道です。


サザエさんとカツオくんの案内看板が目印です。


緑道の途中にはモニュメントも。
これは「BRUDON」(作者:流政之)です。



1号緑道は、途中で先ほど通った2号緑道と交差しています。

このまままっすぐ進むと福岡タワーですが、ここで再度2号緑道に入っていきます。


ここが1号緑道と2号緑道の交差点。




20.百道2号緑道(再/早良区百道浜3丁目1)

【種別】緑道

【大きさ・長さ】8,707 ㎡

【完成した年】1987年

【施設】ベンチ



 

2号緑道のちょうど真ん中近くまで進んでいました。




こちらは西側よりもさらに植物が多く、日陰も多いような気がします。夏場にはありがたいですね。







21.百道浜東公園/芝とふじの公園(早良区百道浜1丁目4

【種別】公園

【大きさ・長さ】2,500 ㎡

【完成した年】1990年

【施設】ベンチ・藤棚・遊具(すべり台)・トイレ・水飲み場



だいぶ東までやって来ました。

百道浜東公園は、百道2号緑道に隣接して作られています。


遊具やトイレ、水飲み場もあります。


ここは「芝とふじの公園」という名前が付けられています。

その名の通り、公園内に藤棚があるんですよ。

藤棚がある公園です。


公園は通り抜けが可能で、緑道と反対の道に出ることができます。

道路沿いには線画が描かれた石のモニュメントが置かれています。





ここから再度、百道2号緑道に戻ってさらに東を目指します。

一度車道に出ます。
左手には「ももち福祉プラザ」の建物。
右奥は「福岡市医師会館」があり、緑道はその手前です。

公民館の脇から入った緑道がずっと続いています。


しばらく進むと、分かれ道が現れました。

右の少しのぼっている道は、地行浜に続く二重橋「ふれあい橋」の2階部分に繋がります。


われわれは、あえて左の道を進みます。

ふれあい橋に続く道の下を通ります。

ふれあい橋を下から!
ちなみにここからでも階段を上ると二重橋に行くことができます。


この角度もなかなか新鮮!


そしてひっそりと緑道の看板が立っています。
ここが緑道の終点。





22.樋井川河畔緑道(百道浜エリア)早良区百道浜1丁目1付近

【種別】緑道

【大きさ・長さ】約640m

【施設】ベンチ



ついに樋井川までやって来ましたー!(長かったですね…)

前回、地行浜エリアでも通った樋井川河畔緑道は、百道浜エリアにも設定されています。

ですが、先ほど通ってきた百道2号緑道とは繋がっていないので、一度信号を渡ってからスタートします。


よかトピア橋西交差点の信号を渡ります。

川沿いの道が気持ちいいですね。
サイクリングロードとしてもオススメですよ!


この緑道はまっすぐな1本道で、歩くにもサイクリングにも、またランニングにも最適。エリアの中でもイチオシの場所でもあります。

見通しが良く、写真スポットとしてもオススメですよ。




23.百道浜3号緑地(早良区百道浜1丁目1

【種別】都市緑地

【大きさ・長さ】250 ㎡

【完成した年】1993年

【施設】モニュメント



 

ちょっと地図では分かりづらいですが、ルート(赤線)の先にある緑の☆印にあるのが百道浜3号緑地です。先ほどから通っている樋井川河畔緑道の途中にあります。


右側のちょっと草むらが切れているところが目印です。


脇道を入ると石のモニュメントが見えてきます。

車道沿いにひっそりとあり、車で通ると見過ごしてしまうかも。

案内版(石)もあります。


案内版にあるように、ここは「入り江の広場」という愛称が付けられています。

これまでもいくつかありましたが、地行浜エリアよりも百道浜エリアの方がこうした愛称がある緑地・公園が多いようですね。





24.ゴール/百道浜橋(早良区西新2丁目付近

【種別】橋

【大きさ・長さ】80 m

【完成した年】1987年





ようやくゴールの百道浜橋に到着しました。



今回のさんぽは、こんな感じ。

【移動距離】約3.2km

【所要時間】徒歩:約1時間/自転車:約20分

お疲れさまでした!



後半は1つ1つの目的地が近かったので、めぐる場所は多かったですが前半よりも短い時間でめぐることができました。


これから梅雨、そして暑い夏がやって来ますが、皆さんもシーサイドももち地区の海風と緑地に涼を求めてみてはいかがでしょう?



【総移動距離】約6.8km

【総所要時間】ゆっくり徒歩:約2.5時間/ゆっくり自転車:約40分



エンドロール。

 



※ 写真はすべて福岡市史編さん室撮影。

※ 地図のベースはピー・アンド・エル制作。



【参考文献】

・ウェブサイト
 ・公益財団法人福岡市緑のまちづくり協会(https://www.midorimachi.jp/
 ・百道浜自治協議会(https://www.momochi-hama.jp/161778.html
 ・福岡市 インクルーシブな子ども広場について(https://www.city.fukuoka.lg.jp/jutaku-toshi/koenkensetsu/midori/inclusive/inclusive_park_in_FukuokaCity.html

 


シーサイドももち #緑地 #公園 #インクルーシブ公園 #ウォーキング #サイクリング #熱中症に注意! #雨にも注意!




Written by かみねillustration by ピー・アンド・エル 


※ 2024.6.21 誤字を修正しました。

0 件のコメント:

コメントを投稿